プラスチック業界を牽引するモノづくり戦略

成熟領域にこそ成長のチャンスがある

熱で縮む性質を生かし、あらゆる形状にフィット。
写真は飲料、食品、日用品のラベルとしての使用例。
(写真上)チャックテープ
(写真下)チャック袋

「国や地域によって、環境基準や包装に求める価値は異なります。それぞれのニーズに適した製品を提供することが海外展開の肝になります」と南谷氏。

高級感のある鏡面仕上げのハイグロスシリーズはその平滑性と透明感で世界の家具メーカーから高く評価されている。写真はキッチン扉での使用例。

先進国では特に環境意識の高まりからPETなどリサイクルが容易で環境負荷の低い素材の使用が求められる。そこでアメリカと南米のウルグアイ、そして日本の岡山県の3拠点に生産体制を整備。PET、塩化ビニル、ポリスチレンなど材質ごとに生産を集約し、合理化と増産を可能にした。

一方、上海と日本の平塚工場をフル稼働して製造しているのが、チャックテープ、チャック袋だ。医薬品や菓子などの食品の包装のほか、大手衣料品メーカーのパッケージに用いられるなど、従来にはなかった価値が見いだされ、需要は右肩上がりに伸びている。

さらにヨーロッパ市場では家具用化粧材の拡販をもくろみ、イタリアの生産拠点で増産を計画している。「現在、欧州向け化粧材の約3割は日本で製造していますが、いずれはイタリア工場ですべて製造できるようにするつもりです。

現地のオペレーターに日本で研修を受けさせたり、日本人の指導員を派遣し、日本と同じ高い品質と生産効率をグローバルに実現することで、それを可能にします」という。

人づくり、組織づくりで成長軌道へ

積極的な事業展開を成功させるには、それを支える経営基盤の強化が欠かせない。「旧会社のいずれの出身かにかかわらず、全員で新しい企業文化を創っていく」として、同社は組織づくりにも力を注ぐ。工場の集約や移転に伴って配置転換を積極的に行い、社員の融合を図るのもその一つ。また部署を横断して社員が集まり、どのような企業をつくっていくかを話し合うなどコミュニケーションを活発化させている。「とりわけ必要だと感じるのは、成功体験の共有です」と南谷氏。「長く不況が続いた結果、社員の多くは新しいことに挑戦し、成功させた経験に乏しい。今後ビジネスチャンスを果敢につかみ取る上で、これまでの成功体験とノウハウが力になるはずです」と言う。

「今後、2020年に向けたインフラ建設の需要増加など、建築土木分野の投資は大きくなることが予測されます。それに向け、国内事業も拡大の手を緩めるつもりはありません」と前を見据えた南谷氏。次期へ向け、新製品の開発を成長戦略に位置づけることに加え、M&Aによる新規事業の開拓も積極的に進める。また収益の高い成長事業だけでなく、成熟領域においても厳しく収益向上を追求する。「視点を変えれば、新たなサービスやこれまでにない商品を創出することは可能です」として、既存商品や当たり前の品質の中に新たな価値を見いだし、「コモディティをスペシャルに」することで、成長軌道を描こうとしている。

「真価が問われる1年になる」と意気込むトップの熱いリーダーシップが、タキロンシーアイの勢いを加速させている。

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