遊びのように仕事ができる人が生き残る時代 「好きなこと」をビジネスにしてみませんか?
夏野:ICTが組織と個人のパワーバランスを決定的に変えました。インターネット検索によって、組織に属していなくても情報収集できるようになり、SNSを使えば場所や時間に関係なく、個人で情報発信できるようになったことで、組織の中で才能を発見し、伸ばしていくという時代が終わってしまった。
20世紀と21世紀では生き抜く力はまったく違うのです。これからのプロフェッショナルは、組織に依存せずに活躍できる人です。その意味では、すべての人に、さまざまな可能性が広がっていると言えます。
新たなビジネスを生み出すプラットフォーム
――そうした新しい可能性が広がる中、i専門職大学を設立される理由とは何でしょうか。
中村:ICT社会を実現させるうえで大きな役割を果たしてきたのが、アメリカの大学です。たとえば、グーグルはスタンフォード大学、フェイスブックはハーバード大学というようにアメリカの大学は新しいビジネスを生み出すプラットフォームとなってきました。日本もすばらしい商品やサービスを生んできましたが、大学という場を使って生み出してきたかというと、そうではないんですね。私は長年そうした場を日本につくりたいと考えていました。しかも、これまでの大学という枠に収まらない大学をつくりたいと。そうした考えを実現するために設立されるのが、i専門職大学なんです。私が今18歳ならどんな学校に入りたいのかを思い浮かべて、多くのアイデアを集めながら、新しい大学の姿をつくり出そうとしているのです。
――i専門職大学の特色とは何でしょうか。
中村:ICTとビジネス、英語を徹底的に学ぶことを基本とし、ICTを生かしたビジネスを実践する場にしたいと考えています。それを企業でも学びましょうということで、学生1人あたり600時間以上のインターンシップを経験する機会を提供するなど、ハンズオンのリアルプロジェクト教育にも重点を置きます。
すでにICT、通信、エンターテインメントなど40社以上の企業から賛同を得ております。また、キャンパスを東京都内2カ所に置き、さまざまな実験や試みができるICT特区のような環境にしたいと考えています。米国のシリコンバレーのように、産業界と一緒になって学生を育成していきたいんです。