ビジネスモデルを進化させるきっかけに 経営戦略としての働き方改革

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働き方改革を通じてビジネスモデルを変革すべき

「ビジネスモデルの変化への対応」について、働き方改革に取り組むにあたって、しばしば日本企業の生産性の低さが話題になります。長時間労働の是正などによる業務の効率化を進めることで生産性の向上を実現しようとする企業も少なくありません。しかし、本当の意味で課題を解決するためには、ビジネスモデルのあり方など、本質を見極める必要があります。

かつての高度経済成長の時代であれば、第一線の若者の仕事を単純化し、「とにかく頑張れ」と叱咤激励するだけでモノが売れました。競合企業は主に国内の同業他社で、ひたすら訪問件数を増やして受注を獲得したり、値引きをしてシェアを取ったりすることも日常的でした。しかし、ビジネス環境が大きく変化し、グローバルな競争が激化する中においては、このようなビジネスモデルが通用しなくなっています。若い社員が夜中まで残業して仕事をこなすといったやり方では目先の売上高は上がっても収益の向上にはつながりません。

一方で、第一線で顧客に接する人材に専門的な知見や専門家としての働き方が求められるプロフェッショナル化の時代になると、70歳まで仕事をして収益に貢献することも可能になります。逆に言えば、そのような働き方でなければ、競争にも勝てず、生産性も上がらなくなります。

第一線のプロフェッショナル化が進むことで、組織の人材育成のあり方も変わってきます。第一線の仕事が単純化されている時代には、先輩や上司が情報を握っているという非対称性がありました。つまり、情報を持っている人が偉かったのです。しかし、第一線のプロフェッショナル化の時代には、一人ひとりが専門家として知恵を持ち、応用力を持って適応し続けなければなりません。教育についても、上から教えるのではなく、職場学習的な横の学習ができる仕組みが必要になります。

そのためには、仕事の可視化やIT化が重要になります。誰がどんな仕事をしてどんな工夫をしたか、その結果どんな課題を解決できたか、といった情報を社内のイントラネットなどで共有する仕組みがあれば、一人ひとりが成長できるとともに、チームとしての生産性向上も実現するでしょう。

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