「中高生×スマホ×夏休み」から湧き出す不安 トラブルになる前に子どもとルールづくりを

夏休みともなると、中高生は家にいる時間が増え、スマートフォン(以下、スマホ)の利用時間も長くなりがち。スマホに夢中になっている子どもを見て、心配になる保護者も多いのではないだろうか。
中高生のSNSは避けては通れない
トレンドマイクロが行った「保護者のITセキュリティ意識調査」によると、7割※以上の保護者が子どものスマホ利用に関してセキュリティ上のなんらかの不安を感じている一方、アプリやサービスの制限を具体的に行っている保護者は、全体の約4割にとどまっている。子どもの自由な時間が増える休暇中、スマホやSNSによるトラブルは未然に防いでおきたいところだ。
※「特になし」の26.4%以外の方。「特になし」は排他選択肢


夏休みにスマホがきっかけとなってトラブルに巻き込まれた高校1年生の話を見てみよう。
※以下はフィクションですが、実際に起きた事例を基にしています。
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「景子ちゃんの彼氏ってどんな人? 芸能人で言うと誰? 背は高いの?」
高校1年の東洋このみは、いとこの彼氏に興味津々で質問攻めをする。質問された東洋景子もまんざらではなく、スマホの写真を見せながら完全にのろけモードだ。
「この人だよ。芸能人には似てないけど、背は高くて180センチあるの」
毎年、お盆休みになると、このみは家族で景子の家を訪れている。1歳上の景子を、このみは慕っていた。景子のスマホをずっとうらやましく思っていたし、今は彼氏がうらやましい。このみは高校進学に合わせて念願のスマホを買ってもらっていたが、今度は彼氏を見せつけられて、景子への羨望はさらに強まっていった。
そんな仲むつまじい2人の様子を見ながら、このみの母親・未久はずっとやきもきしていた。実は、未久は景子を警戒していたのだ。
そのきっかけは、景子が数年前にSNSがらみで誘拐されそうになったというトラブルにあった。正直に言えば、「見ず知らずの男についていく景子が軽率だ」という感想だった。素直だけどお調子者。それが、未久の景子評だった。
数カ月前のこのみのスマホ購入時に、そのトラブルをこのみには伝えなかった。伝えるとなると、怪しいサイトやSNSに言及せざるをえず、伝えることが逆効果になることを恐れたためだ。「景子ちゃんだってしてるんだから」と試されてはかなわない。
2人が仲良くするのを見るにつけ、「うちの子に何か悪いことを吹き込んでないかしら」と未久の心中は穏やかでなかった。
その日の夜、このみは帰宅後も遅くまでスマホをチェックしてはメッセージのやり取りをしているようだった。未久は、夏休みで会わなくなったぶん、学校の友達とやり取りしているのだろうと思い、深くは追求せずにいた。
だが、未久が恐れていたことが、このみの身に起ころうとしていた。