ふるさと納税、今問われる「真価」とは? 豪華な返礼品は、魅力の一部に過ぎない

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「ふるさと納税をきっかけに、名前も知らなかったような地域の特産品を実際に手に取ったり、味わったりすることで、新しい地域の魅力を発見する人がたくさんいます。最近は特産品だけでなく、現地に訪れてイベントに参加するなど、体験型の返礼品も増えてきました。現地の人々と寄付者の交流が増えていることを、本当にうれしく感じています」(青木氏)

寄付者の喜びの声がまた、生産者や自治体職員の励みにもなっているという。「特に、普段消費者に会うことの少ない事業者様からは、こうした反響がやりがいにつながるという声も聞いています。さらに、返礼品事業によって得られた収益を元に、新しい商品開発や事業拡大に挑戦する事例も出ています」と青木氏は語る。

ふるさと納税に関する自治体業務をワンストップ代行する

同社の特長として、自治体職員はもとより、返礼品事業者とのコミュニケーションを非常に重視している点が挙げられる。「さとふるはサイト運営会社と思われている方も多いようですが、社員がなるべく多く各担当地域を訪れ、地域の方々と接点を持てるよう努力しています」(青木氏)。「さとふる」は、寄付者と自治体や生産者をつなぐ、いわば架け橋となっているのだ。

根付きつつある寄付文化、震災時はすぐに支援金を

青木氏はこれまでの手応えについて、「日本では、なかなか寄付文化が根付かないと言われていました。しかし、東日本大震災や熊本地震などをきっかけに、誰かが困っている状況に手を差し伸べたいという機運が生まれました。寄付文化も、そこからだいぶ浸透してきたように思います」と語る。

16年の熊本地震の際には「さとふる」内に即時に緊急支援サイトを立ち上げ、被災自治体に寄付できる制度を整えたところ、10日程度で1億5000万円以上が集まったという。青木氏も「ふるさと納税を通じて、スピーディに寄付金を届けられました。被災自治体からは寄付者の方々へ感謝のお声をいただきました」と振り返る。

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「さとふるクラウドファンディング」の画面

そうした各地域が抱える特定の課題解決を支援しようと、今年5月から始まったのが「さとふるクラウドファンディング」だ。目的と用途を最初から明示し、ふるさと納税制度を利用し寄付を募っている。たとえば、絶滅の危機にある野生動物を保護する活動への寄付が募られている。「本当の寄付文化」が、日本にも根付き始めていることの証明だ。

「今後も、ふるさと納税が各地域でさらに有益な活用をされていくよう尽力します。また、寄付金の使途や地域の方々の生の声を、寄付者側にも届けて行きたいと思っています」(青木氏)。初心者も経験者も、ふるさと納税を通じて、ほかの地域とつながる温もりを感じてほしい。