デジタル変革時代に挑むヘルスケア企業 「For the Patient」の精神で新たな価値創出

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臨床開発の初期段階から上市、販売、営業マーケティング支援まで、医薬品・医療機器などのライフサイクルすべてを革新的な方法によってサポートできる点は、IQVIAならではのアドバンテージである。同社はもはやこれまでの枠組みではとらえることのできない、新たなカテゴリー「ヒューマン・データ・サイエンス」を開拓したフロントランナーと言えるだろう。

ビッグデータとAIが生む次世代のプロセス最適化とは?

では、現在進行形でIQVIAが、IQVIA COREを用いて創出しようとしている新たな価値とはどのようなものか、具体的な例で見てみよう。同社ではすでに次世代型の臨床開発アプローチで成果を挙げ始めており、またセールス・マーケティングの分野では今秋以降にはAI搭載の顧客エンゲージメントプラットフォーム「Orchestrated Customer Engagement」(OCE)の提供を日本でも開始する見通しだ。

次世代型の臨床開発アプローチとは、これまで同社が蓄積してきた医療ビッグデータを利活用して、治験の最適化を図るソリューションだ。現在、製薬企業に対しては、このアプローチを組み込んだ提案が始められている。一般的に、薬を開発するにあたって最も時間と費用がかかるのが治験だが、このプロセスのどこかを見直すことによって、開発リソースの効率化に結び付けることが可能になる。

そこで同社は医療データを分析することで、たとえば対象となる被験者が多い施設を高精度に抽出し、治験実施施設を短期間で選定することで最適化を実現している。海外事例になるが、乳がんのグローバル治験での施設選定において、従来の方法では12カ月かかっていたプロセスをわずか9カ月で決定、25%の時短に成功した。また精神疾患の治験では、被験者となる患者登録率が60%向上したという。

グローバルでは患者や医療従事者の治験にかかる負荷を、モバイルやIoTなどを最大限に活用した治験ITプラットフォームにより大幅に削減することで治験全体を最適化する、バーチャルクリニカルトライアルの実現に向けて準備を進めているという。

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