中国依存のドイツを襲う「ゆでガエルの恐怖」 欧州は米中の板挟みになるリスクがある

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過去数十年間、中国に対するドイツのアプローチは「通商を通じた変化」という言葉で説明することができた。

だが今や、この戦略は崩壊した。

政府関係者からは、「ウィン・ウィンの新しい意味は、中国が2度勝つということだ」といったブラックジョークも聞こえてくる。

「緊密な経済関係が、開放を促進することを期待していた。だが、明らかにそれは誤った期待だった」と、ある政府関係者は語る。「彼らは、口ではわれわれが聞きたがっていることを言うが、その正反対の行動を取る」

ドイツ政府も、方針転換を始めている。

昨年、中国家電大手の美的集団<000333.SZ>による独ロボット大手クーカ<KU2G.DE>の買収が批判を浴びたことで、ドイツ政府は外国企業の投資に対する規制を強化し、欧州における買収審査に関する新ルール策定に向けて動き始めた。

中国政府に方針転換を強いるのは困難

昨年12月には、中国当局がソーシャルメディア上の偽アカウントを通じてドイツの政治家情報を集めていると独情報当局が指摘し、中国側を激怒させた。このように公然と非難することはまれで、中国にメッセージを送る意図があったとドイツ政府は述べている。

今年予定されているドイツと中国の首脳会談において、独側はより強硬な姿勢を取る方向だと、政府高官は語る。

しかし、その一方で、欧州連合(EU)の内部分裂や、単独歩調を崩さないトランプ米政権と欧州との距離が広がっていることから、中国政府に方針転換を強いるのは困難だと認識している。

「中国が本当に心配しているのは、欧州と米国が中国に対して共同歩調を取ることだ」と、ドイツ政府関係者は語る。「その意味で、トランプ大統領はまさに中国にとって天の恵みだ」

(Noah Barkin 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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