日産リーフ「国内販売10万台」が持つ意義 発売から8年、充実するEVの充電インフラ

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足柄サービスエリアにある充電スポット

ジャパンチャージネットワークでは、そうした事態を防ぐため充電スポットの増強に取り組んでいる。

「充電スポットの設置は、現在『選択と集中』の時期に入っています。利用頻度の高いところは増設し、すでに3基まで増やしたところもあります」(藤本社長)

また、日産自動車の日産リーフのユーザー同士がさまざまなコミュニケーションをとるサイト「リアルオーナーズ、リアルアンサーズ」で生の声を見ても、充電渋滞で困っているユーザーは多くない。

「充電スポットは渋滞しませんか?」との問いに、全国各地のリーフオーナーからの回答が寄せられている。一部を紹介しよう。

「最近は充電施設の増加で、1か所が使用されていても近くに別の充電器があれば、そちらに行くという事が可能」

「充電したい所に向かう前にナビ、アプリで空きを確認してから行けば大丈夫です」

「観光地などに行く時は、当然、先客がいることもありますが、充電器が『30分充電』か『80%充電』に設定されているので、それほど待たなくてもよいです」
(原文抜粋)

日産リーフのオーナーと対話できるQ&Aサイト「リアルオーナーズ、リアルアンサーズ」

先客がいることは増えているようだが、充電スポットの増加により別の場所に行くという選択肢ができたことと、車載ナビやアプリ等で使用状況をリアルタイムで事前に把握できることから、利便性を損なっているということはなさそうだ。

さらに、ガソリンスタンドでの新たな動きもある。これまでガソリンスタンドにおけるEVの充電設備設置は消防法により認められていなかったが、経済産業省の有識者検討会で、この規制の緩和も検討されているという。これが実現すれば、EVユーザーにとってはさらなる利便性向上につながりそうだ。

日産リーフが国内累計販売台数10万台を達成したことは、EVが普及しつつあるというだけでなく、充電インフラが整ってきたことの裏返しでもある。近くに充電スポットがないのに、EVを買うことは想定しにくいからだ。言い換えれば、EVと充電インフラの関係は、かつて「鶏と卵」と揶揄されていた段階から脱し、互いを刺激し合う成長の好循環に入ったということかもしれない。

これからも、日産リーフと充電スポットはその循環の中で、さらにその数を増やしていきそうだ。

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