日産リーフ「国内販売10万台」が持つ意義 発売から8年、充実するEVの充電インフラ

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すでに充電インフラは整ってきている

それでも、消費者が抱く充電インフラへの不安は根強い。一般社団法人次世代自動車振興センターのアンケートによれば、EV・PHV非保有世帯の実に92.5%が「充電インフラが十分でない」を、EVを買わない理由に挙げている。

だが、数字を見れば、不安視する状況は過去のものになりつつある。

2017年の経済産業省のリリースの中に、「急速充電器の普及状況」について以下のような記述がある。

「一般財団法人電力中央研究所による EV-OLYENTOR を使用したシミュレーションでは、約30キロごとに充電器が設置されれば電欠は起きないとの結果が示されている。現在の状況は、計算上平均26.5キロあたりに一カ所設置されている状況である。これは、道路の総延長距離(道路とは一般国道・都道府県道を指し、市町村道を除いたものとする)が18万4000キロであり、これを急速充電器の設置数で除すことにより急速充電器一カ所あたりの道路の距離数を求めたものである。計算上は電欠が発生する確率は低いことになる」(平成28年度エネルギー使用合理化促進基盤整備委託費<EV・PHV の充電インフラに関する調査>調査報告書)

ジャパンチャージネットワーク
藤本洋登社長

EV利用者にはこの整備状況が認知されているのか、この1年で充電スポットの利用率は大幅に上昇。高速道路やコンビニエンスストアに設置された充電器の運用管理を行うジャパンチャージネットワークの藤本洋登社長によれば、2017年12月の高速道路とコンビニの充電器利用回数の合計値は前年同月比41%増となった。この利用率の上昇はEV台数や充電スポットの増加率よりも明らかに高い。この乖離をどうとらえればいいのか。

「これだけの利用率増加という現象にはわれわれも少し驚いていますが、これは充電スポットが増えていることが従来のユーザーに認知され、EV利用者の行動範囲が広がっていることの現れと考えています」(藤本社長)

日産リーフ10万台の近くには充電スポット

充電器の利用率が上がることは運営側から見ればありがたいことだろうが、ユーザー目線で見ると、充電したいときに「占有されている可能性が上がること」でもある。累計販売台数が10万台を突破し、ここからさらにEVユーザーが増えることになれば、「充電渋滞」を招き利便性を損なうことにならないだろうか。

次ページ先客増えても利便性は損なわれず