結果を出す企業に必要なIT環境とは? ITジャーナリスト津田大介氏が語るDX

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革、以下DX)が今、日本企業にとって大きなテーマになりつつある。多くの企業が関心を持っているが、その一方で、ジャーナリスト メディア・アクティビストの津田大介氏は、「海外、特にアジアの企業に比べて日本企業は取り組みが遅いと言わざるをえません」と懸念を示す。世界がDXする中で、日本の企業の導入課題はどこにあるのか、またその解決のためには何が必要なのか。さまざまなものがDXする中で、「名刺」もまた大きな変革を果たそうとしている。導入企業7,000社を突破したSansanの法人向けクラウド名刺管理サービス(※)。導入によってどんなDXを企業に与えるのか。日本で起きているDXについて津田氏に聞いてみた。

「スマートフォン」「ソーシャルメディア」「クラウド」がデジタル化を加速させた

―― デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革)という言葉を目にする機会が増えています。どのようなことが日本の企業に起きているのでしょうか。

津田 デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、一口で言えば、これまでアナログで行っていたビジネスやコミュニケーションなどをデジタル化することにより業務改善や生産性向上を劇的に変化させることです。というと、新しい概念のように思われがちですが、実はテクノロジーが社会を大きく変える現象は昔から起こっていたのです。

たとえば、電話の発明によりコミュニケーションの方法が大きく変化し、ビジネスのやり方や一般市民のライフスタイルも大きく変わっていきました。携帯電話が登場する以前の1990年代までは待ち合わせの時間に遅れるというのは御法度でしたが、いつでも連絡可能な携帯を持ったことで、われわれは時間感覚がルーズになりましたよね。文字の伝達についても、手紙から、ファクス、メールへと手段が大きく変わりました。その点では、DXは今新しく起きている出来事ではなく、過去からの変化の延長とも言えます。

近年起きた大きな転機をキーワードで挙げるとすれば「スマートフォン」「ソーシャルメディア」「クラウド」です。実はこれらはすべて2006~2007年という同じ時期に登場しています。それまでインターネットは発達していたものの、多くのユーザーはまだフィーチャーフォン、いわゆるガラケーでした。2007年にパソコン並みの機能を持つ液晶フル画面の携帯電話が登場したことで、さまざまな情報をクラウドから、タッチ操作でどこでも入手できるようになりました。お年寄りなども含めて、情報やコミュニケーションのコモディティ化を一気に加速させることになったのです。

―― 近年のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の発達はビジネスにも影響を与えています。企業の取り組みに変化は見られますか。

津田 2016年の米大統領選では、SNSを利用したニュースや情報流通が選挙結果を左右した可能性が指摘されています。広告媒体としてSNSを活用する企業も増えています。

企業内のコミュニケーションにおいても、SNSの情報流通の速さを生かそうとする動きがあります。従来も、グループウエアなどの企業内コミュニケーションツールはありました。これらの多くは掲示板タイプのものでしたが、最近では、チャット感覚でリアルタイムにコミュニケーションができるSNSタイプのツールが多く登場しており、掲示板タイプの古いツールは淘汰されつつあります。

一方、スマホ、ソーシャルメディア、クラウドという情報革命が一気に進んだことで、企業内においてデジタル・ディバイド(インターネットやパソコンなどの情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差)が大きくなっています。新入社員は生まれた時から身の回りに携帯電話があったようなデジタルネーティブなのに、管理職や経営層で依然として「ITのことはよくわからない」と言っている人も少なくない。

もちろん、最近ではSNSでお孫さんとメッセージをやりとりする祖父母の方や、ネットで囲碁対局を楽しむお年寄りが出てきたように、デジタル・ディバイドは高齢者にデジタル技術を使うはっきりとした目的や動機があり、時間がたてば次第に解消されていくものとも言えます。ですが、企業においてはその時間を速めることが大切です。

(※)

■Sansanの法人向けクラウド名刺管理サービス

社内の名刺を一括管理できるクラウド名刺管理サービス。
 
名刺をスキャンするだけで簡単にデータ化し、社外の人脈を社内で共有することができ、クラウドで名刺管理ができる。営業強化から全社における生産性の向上までさまざまなシーンで活用が可能だ。
 
次ページ「AIやロボット」導入で、働き方はどう変わる?