ATM不要?レジで「現金引き出し」の利便性 支払いの際のキャッシュレス化も推進

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小売店からは「レジに現金をたくさん用意しておかなければいけないのか」といった不安が寄せられたが、現状としてお店の売り上げのうち7~8割が現金で、そのなかから数%だけキャッシュアウトとして現金が使われるということになるという。消費者のアンケートでも、引き出したい金額は1万円以下のニーズが圧倒的に多い。

サービスの運用に関しても、取扱時間は加盟店で任意に設定でき、レジに現金がない場合には断っても良いことになっている。取扱金額は1000円単位とし、「キャッシュアウト5000円」といったバーコードを読み取るとPOSに連動できるようにして、レジを担当する店員の負担を最小限にするといった配慮をしている。

今年から2年間、新たにJ-Debitを導入する加盟店には、同機構への入会金と年会費が無料になるといった加盟店向けの支援もある。さらに22年まで、POSのシステム更新や端末設置にかかった費用の一部支援も用意している。

「さっそく、4月からは総合スーパーのイオンが導入します。4月に本州の一部の店舗から始め、年内には本州・四国の店舗へ広げる計画とうかがっています。一部店舗で先行してサービスを提供し、お客様の反応やサービス提供の効果を見極めていく方針とのことです」

加盟店手数料をクレジットカードよりも低くできる可能性もあるJ-Debit。消費者にも加盟店にもやさしい選択肢が増えることになりそうだ。

米国では同サービス導入から20年

矢野経済研究所の調査によれば、デビットカードが広く利用されている米国では、買い物のついでに、レジで必要最低限の現金を引き出すシーンがごく普通に見られる。キャッシュアウトサービス導入から20年が経ち、デビットカード利用者の35%が同サービスを高く評価しているとのことだ。加盟店が気にかける不正利用だが、ICカードと個人暗証番号の入力が必要なこともあり、発生していない。そもそも、不正にカードと暗証番号を手に入れたら、無人のATMで引き出すほうが合理性が高い。

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