センコーが創る未来潮流の戦略とは? 「物流」の枠を超えた変革と挑戦
まずはこれまで以上にグループのシナジー効果を発揮させ、物流・商流の拡大に重点を置く。そのために不可欠なのが、物流センターの拠点拡充だ。計画では、2016年度に322万平方メートルだった保管面積を5年間で400万平方メートルにまで増やすとしている。とりわけ国内に冷凍・冷蔵倉庫を増やし、高度な品質管理システムで低温物流に強みを持つグループ会社と連携し、食品や医薬品などの冷凍・冷蔵物流で受注拡大を狙う。
また冷凍・冷蔵の保管・輸送機能の拡大は、海外物流においても肝になる。「まず中国で8カ所に物流センターを新設し、中国国内での冷凍・冷蔵物流のネットワークを構築します」と語る福田氏。加えて、ミャンマーをはじめ、ASEAN各国でも冷凍・冷蔵物流を拡大させることを計画する。日系企業に加え、現地のローカル企業にも対象を広げて新市場の開拓を目指す。
物流センターの拡充と並んで生産体制の強化の一環に据えられているのが、自社車両台数の増大だ。「台数を増やし、自社車両比率を高めることが、新規顧客開拓や輸送の効率化、生産性向上につながります」と福田氏は意図を語る。
新規事業への展開と拡大を支える人材教育
さらに中期経営計画では、ライフサポート事業や農業事業などの新規事業の積極的な展開にも重点を置いている。ライフサポート事業では介護事業を中心にすでに収益をあげており、今後は中国展開も視野に入れて一層の事業拡大を図っていくという。こうした事業拡大のため、必要に応じてM&Aや業務提携も積極的に推進する。
グループの成長においてはそれを担う人材が欠かせない。特に今後自社車両を増やしていくには、ドライバーの育成が不可欠になる。センコーグループでは、早くからドライバーをはじめとする人材教育に力を注いできた。滋賀県東近江市にある交通安全・物流研修施設「クレフィール湖東」で、従業員の物流・交通に関わる技能とスキルの向上を図っている。同施設は2016年10月、滋賀県公安委員会から大型自動車免許の「指定教習所」に指定された。物流業界全体で人手不足が深刻化する中、自社でドライバーを育成できる意味は大きい。
今後さらに物流の枠を超えていくための基盤を着々と築きつつあるセンコーグループ。これまでになかった新しい物流・商流の潮流をセンコーグループが先導していく。
高水準の教育環境で「現場力」のある人材を育成
センコーグループでは、物流の品質と生産性を高める「現場力」を重視し、それを担う人材の育成に力を注いでいる。1996年に開設した日本最大級の交通安全・物流研修施設「クレフィール湖東」では、全ドライバー、オペレーターを対象に運転技術と物流知識を高める研修を実施。一人ひとりの「現場力」を鍛えるとともに、指導者となるトレーナーも育成。各現場で「現場力」の浸透を図っている。