トヨタが見せた、「公共交通の未来形」

減っていく「地域の足」をどう維持するか

トヨタの福祉車両(ウェルキャブ)では、多人数の送迎に便利なウェルジョイン(写真・下)以外にも、セカンドシートが回転して、より立ち上がりや着座をサポートしてくれるサイドリフトアップチルトシート車(写真・上)など、さまざまな工夫を凝らした車種を取り揃えている。
詳しくは
http://toyota.jp/welcab/

利用者の一人の女性は、次のように感想を語る。

「夫が元気なときは良かったけれど、亡くなってから本当に困りました。病院へも、転ぶのが怖くてなかなか行けませんでした。人に頼むのも気を遣うし、ミニバスのほうが使いやすいですね」

また、同乗していた別の女性も笑顔で言う。

「振動も少なく、クルマの乗り心地はいいですね。降りるときも床が低くて、手すりもついていて使いやすい。6人乗って、知り合いの皆さんと町に出て用事を済ませると、一緒にご飯を食べて帰ることもあります。車内は快適で話も弾みます。これからもサービスはぜひ続けてもらいたいですね」

奥山氏も今回の社会実験の効果について語る。

「こうした共助の活動を通じて、さらに人とのつながりが強くなったと感じています。自宅にいても近くで救急車の音が聞こえると胸が痛くなります。ミニバスに乗るようになって、人との交流が増え、元気になった人もいます。地元のおばあちゃんから『いつでもお医者さんがいる感じで、安心だ』という激励の電話をもらったときはうれしかったですね」

横手市の村田次長は今後も行政として社会実験の活動を拡げていく方針だという。

「行政側としてもチャレンジングな取り組みだと考えています。良い声が出てくれば継続できるはずです。うまくいけば、地域に公共交通の会社ができたような感じになるでしょう。住民の方々にミニバスの存在を認知させ、必要なときに動かせる手段を講じておく。それが行政の役目であり、コストとネットワークを両立させるカギだと考えています」

トヨタ自動車主査
中川 茂

トヨタ自動車の中川氏はこう強調する。

「集落の中には、まだバスに乗るために不自由を感じている高齢者の方々がいます。いかに高齢者の方々が不自由のない生活を実現するのか。我々も技術面で知恵を絞りながら、トヨタとしての考え方を提示し、みんなで共有していきたい。超高齢社会を迎える今こそ、すべての方に快適な移動の自由を提供していきたいと思っています」

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