革新を起こす「攻め」と「守り」のITとは? AIによるサポートやコスト約50%削減も実現
こうしたデジタルコア基盤の構築や攻めのITを実現するには、追加投資ではなくフロント部分の徹底したコスト削減を行うことが重要だ。そこで重要になってくるのが「守りのIT」だ。
「守りのIT」は「BPaaS」のススメ
「守りのIT」戦略を進めるうえで、日本アイ・ビー・エムの松尾美枝氏は、間接部門の効率化とコスト削減について「次世代型BPO」の活用を提案した。
松尾氏は、まず自社の間接部門の効率化の歴史を紹介。全世界で個別に対応していた間接部門業務をグローバル規模で効率化し、購買、経理、人事で数百から数十あった拠点を数ヵ所まで集約し約50%のコストダウンを実現したという。そうした自社のノウハウを生かし、同社が提案するのは、従来のBPOではなくSaaSで提供するシステムと同時にBPOサービスを提供する「BPaaS(Business Process as a Service)」モデルだ。
これまでのBPOはオフショア活用によるコスト削減を中心にして、プロセス・ルールの見直しや標準化を既存のシステム活用しつつ実施していた。BPaaSでは購買システムには「SAP Ariba」を、経費精算システムには「Concur」を使用し、システム導入と同時にBPOへと移管する。さらに、そこにはRPAやIBM WatsonなどAIの先端テクノロジーを加えるという。
これにより、例えば出張経費の精算なども単に処理の効率化を促すだけでなく、データ化された航空機の使用記録を利用し、航空会社へ確実な利用回数を提示した値引き交渉まで発展させられるとした。「守りのIT」でも、コスト削減をしながら、より業務の高度化を実現できる。
長年協業を行っているSAPとIBMだが、両者では、業務変革の道筋を描いている。「攻めのIT」と「守りのIT」それぞれの戦略をはっきりと分けながら、次世代ERPでデジタルコア基盤を支える。デジタルトランスフォーメーションを実現する明確な回答だ。