有料会員登録 東洋経済オンラインとは

革新を起こす「攻め」と「守り」のITとは? AIによるサポートやコスト約50%削減も実現

AD
  • 日本アイ・ビー・エム 制作:東洋経済企画広告制作チーム
デジタル時代と言われる現在、ビジネスにおいてテクノロジーを抜きに語ることはできない。その証拠にテクノロジーだけで成長を続ける成功事例が続々と登場している。もはや、どのような企業にもデジタル変革 (Digital ReinventionTM) が必要である。では具体的にどのような視点でデジタル変革を進めていくべきなのか。2018年2月に京都で開かれた「デジタル時代にビジネスを飛躍させる業務革新の実現」のセミナーをヒントに、業務革新実現への筋道を考えてみよう。

「攻め」と「守り」のIT戦略

「Singularity(技術的特異点)」という言葉をよく耳にするようになったが、AIに代表されるテクノロジーの進化により、人が想定できる範囲を超えた変化がもたらされる可能性がある。そして現在が人類の経験した文明の中での大きな変化点であることを示唆するものである。2020年頃には、わずか10万円ほどのコンピュータが1秒間に行う演算能力は人間の脳の処理能力を超え、2045年には、脳の100億倍のコンピュータ能力が登場すると言われている。

日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業 次世代EA 理事 内田 真治氏

こうした時代に企業のCEOの関心事も、今後3~5年で自社に大きな影響を及ぼす外部要因として「テクノロジー」を挙げている。(*1)日本アイ・ビー・エム グローバル・ビジネス・サービス事業 次世代EA 理事 内田真治氏は「中でも重要視されるのがクラウド、モバイル、IoTといったテクノロジーであり、さらにこうした個々のテクノロジーはAIと統合していくことになる」と指摘。当然、大量のデータを保持するデジタルプラットフォームの整備は不可欠だ。ただし、ここにはコストの課題もある。そこで、内田理事は「テクノロジー活用には今後”攻め”と”守り”の戦略が必要になる」という。ビジネス拡大を担う「攻めのIT=AI、ブロックチェーン、IoT などの先進テクノロジーとそれを支えるデジタルコア (Next Gen. ERP)」への投資と、一方では徹底したコスト削減を行う「守りのIT=業務系 SaaS ソリューション + BPO」をバランスよく行うことが不可欠だと語る。

*1:「グローバル経営層スタディからの洞察」(最新の調査は、世界 112カ国における 6つの CxO (最高責任者) レベルの経営層 12,854 名の回答に基づく)

AI活用もSoR(System of Record)との連携がとれてこそ

攻めのITを代表するAI活用では、現在どのような事例が世の中に出てきているのだろうか。

日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業 次世代EA コグニティブ&デジタル変革リーダー
刀根 猛氏

日本アイ・ビー・エムの刀根 猛氏は、「労働人口の減少が課題となる日本では、人手不足をカバーするためのAI活用が進んでいる」とし、ただ、その中で人の仕事をAIが奪うといった懸念よりも、人のビジネス活動や創造のサポートを支援できるAIのメリットを強調した。実際にAIを導入した例として、アパレルメーカーであらゆる角度からのデザイン提案をAIが行う様子や、日本で一番AIが活用されているというコールセンターでの音声認識技術と自然言語によるサポート例、工場でのライン管理でもエラー対応における迅速な情報提供を示す例などを挙げた。ECサイトでの販売支援の活用では、例えば複数のコーヒー豆をユーザーがオーダーした際のAIの対応も紹介している。単純な注文受付の受け答えだけでなく、在庫状況が足りない場合には、別日の発送を提案したり、他の商品とのクロスセル案内をする高度なやりとりが行われていた。

カスタマーエクスペリエンスを向上させるこうしたAI活用の例はSoE(Systems of Engagement)として重要視されているが「いかにSoEでゲームチェンジを行おうと考えてもSoRとの連携がうまくできなければ成功事例にはなれない」と語るのはSAPジャパン 代表取締役社長の福田 譲氏だ。

SAPジャパン株式会社
代表取締役社長
福田 譲氏

適切な商品のクロスセルをかけられたところで、肝心の提案商品が欠品していれば意味をなさないからだ。在庫状況などを管理するのは基幹システムであり、大量なデータをリアルタイムで処理しながら、クラウド利用も可能で柔軟にSoEと連携できるERPのSAP S/4HANAは、「攻め」と「守り」の戦略を支えるデジタルコア基盤にふさわしいという。

「SAP S/4HANA」の導入でデジタル革命を実現

本社をパキスタンに置きトヨタの車両製造/販売拠点を担う「Toyota Indus Motor Company」では、2016年にSAP S/4HANAを導入し、サプライチェーンの大改革とカスタマーサービスの向上を実現した。同社の最高情報責任者ファイザン・ムスタファ氏によると、まずはサプライチェーンの効率化を目指すうえでSAP S/4HANAの導入に踏み切り、「Velocity:速度」「Visibility:可視化」「Volume:量」の3つのポイントでの改善を試みた。

Toyota Indus Motor Company 最高情報責任者 ファイザン・ムスタファ氏

これにより、「ジャストインタイム」を重視するトヨタの生産管理体制をより高度化することに成功している。また、ムスタファ氏は導入メリットとして、MRP(資材所要量計画)のリアルタイム化を挙げ、これまで1日がかりだったレスポンスタイムを30~40分に短縮したことを評価する。トヨタの製造システムの柱にはジャストインタイムともう一つ「自動化」の側面がある。ここでも、車載されているRFIDのデータをすべてSAP S/4HANAに取り込み、製造ラインでの自動制御を実現。万一製造ラインで問題が起こった際も可視化されているため、対応が素早く行える。経営者視点では、SAP S/4HANAに取り込まれたデータとAIを活用することで、迅速かつデータドリブンな意思決定も可能にした。さらにSAP S/4HANAには、顧客のSNS情報なども取り込むことで、車両がいつ手元に届くかといった情報などを顧客に随時提供できるようにしたという。

同社では、2004年に「SAP R/3」を導入しており今回の「SAP S/4HANA」への移行は、最新バージョンではない「SAP R/3 4.6」からとなった。この際、インプリメンテーションを担ったのはIBMであり、ムスタファ氏は特に「SAP S4/HANA Impact Assessmentが有効だった」と振り返る。これは、SAP S4/HANAに移行する際の影響を網羅的に評価することができるツールで、実データを基に評価することで、実態に即した評価を行える。「どのオプションが最適なものになるか参考書のようなアセスメントでした」(ムスタファ氏)。

結果、本番稼働までのリードタイムは11カ月、すべてのフェーズがオンタイムで終えられたという。「IBMのサポートにより、実現フェーズに踏み切ることを急がずに、ブループリントの段階に時間をかけました。ここでしっかりと時間をかけて文書化することで本番稼働がスムーズになる。私たちの学びになりました」(ムスタファ氏)。

こうしたデジタルコア基盤の構築や攻めのITを実現するには、追加投資ではなくフロント部分の徹底したコスト削減を行うことが重要だ。そこで重要になってくるのが「守りのIT」だ。

「守りのIT」は「BPaaS」のススメ

「守りのIT」戦略を進めるうえで、日本アイ・ビー・エムの松尾美枝氏は、間接部門の効率化とコスト削減について「次世代型BPO」の活用を提案した。

日本アイ・ビー・エム株式会社
グローバル・ビジネス・サービス事業 執行役員 コグニティブプロセス変革リーダー
松尾 美枝氏

松尾氏は、まず自社の間接部門の効率化の歴史を紹介。全世界で個別に対応していた間接部門業務をグローバル規模で効率化し、購買、経理、人事で数百から数十あった拠点を数ヵ所まで集約し約50%のコストダウンを実現したという。そうした自社のノウハウを生かし、同社が提案するのは、従来のBPOではなくSaaSで提供するシステムと同時にBPOサービスを提供する「BPaaS(Business Process as a Service)」モデルだ。

これまでのBPOはオフショア活用によるコスト削減を中心にして、プロセス・ルールの見直しや標準化を既存のシステム活用しつつ実施していた。BPaaSでは購買システムには「SAP Ariba」を、経費精算システムには「Concur」を使用し、システム導入と同時にBPOへと移管する。さらに、そこにはRPAやIBM WatsonなどAIの先端テクノロジーを加えるという。

これにより、例えば出張経費の精算なども単に処理の効率化を促すだけでなく、データ化された航空機の使用記録を利用し、航空会社へ確実な利用回数を提示した値引き交渉まで発展させられるとした。「守りのIT」でも、コスト削減をしながら、より業務の高度化を実現できる。

長年協業を行っているSAPとIBMだが、両者では、業務変革の道筋を描いている。「攻めのIT」と「守りのIT」それぞれの戦略をはっきりと分けながら、次世代ERPでデジタルコア基盤を支える。デジタルトランスフォーメーションを実現する明確な回答だ。