革新を起こす「攻め」と「守り」のITとは?

AIによるサポートやコスト約50%削減も実現

カスタマーエクスペリエンスを向上させるこうしたAI活用の例はSoE(Systems of Engagement)として重要視されているが「いかにSoEでゲームチェンジを行おうと考えてもSoRとの連携がうまくできなければ成功事例にはなれない」と語るのはSAPジャパン 代表取締役社長の福田 譲氏だ。

SAPジャパン株式会社
代表取締役社長
福田 譲氏

適切な商品のクロスセルをかけられたところで、肝心の提案商品が欠品していれば意味をなさないからだ。在庫状況などを管理するのは基幹システムであり、大量なデータをリアルタイムで処理しながら、クラウド利用も可能で柔軟にSoEと連携できるERPのSAP S/4HANAは、「攻め」と「守り」の戦略を支えるデジタルコア基盤にふさわしいという。

「SAP S/4HANA」の導入でデジタル革命を実現

本社をパキスタンに置きトヨタの車両製造/販売拠点を担う「Toyota Indus Motor Company」では、2016年にSAP S/4HANAを導入し、サプライチェーンの大改革とカスタマーサービスの向上を実現した。同社の最高情報責任者ファイザン・ムスタファ氏によると、まずはサプライチェーンの効率化を目指すうえでSAP S/4HANAの導入に踏み切り、「Velocity:速度」「Visibility:可視化」「Volume:量」の3つのポイントでの改善を試みた。

Toyota Indus Motor Company 最高情報責任者 ファイザン・ムスタファ氏

これにより、「ジャストインタイム」を重視するトヨタの生産管理体制をより高度化することに成功している。また、ムスタファ氏は導入メリットとして、MRP(資材所要量計画)のリアルタイム化を挙げ、これまで1日がかりだったレスポンスタイムを30~40分に短縮したことを評価する。トヨタの製造システムの柱にはジャストインタイムともう一つ「自動化」の側面がある。ここでも、車載されているRFIDのデータをすべてSAP S/4HANAに取り込み、製造ラインでの自動制御を実現。万一製造ラインで問題が起こった際も可視化されているため、対応が素早く行える。経営者視点では、SAP S/4HANAに取り込まれたデータとAIを活用することで、迅速かつデータドリブンな意思決定も可能にした。さらにSAP S/4HANAには、顧客のSNS情報なども取り込むことで、車両がいつ手元に届くかといった情報などを顧客に随時提供できるようにしたという。

同社では、2004年に「SAP R/3」を導入しており今回の「SAP S/4HANA」への移行は、最新バージョンではない「SAP R/3 4.6」からとなった。この際、インプリメンテーションを担ったのはIBMであり、ムスタファ氏は特に「SAP S4/HANA Impact Assessmentが有効だった」と振り返る。これは、SAP S4/HANAに移行する際の影響を網羅的に評価することができるツールで、実データを基に評価することで、実態に即した評価を行える。「どのオプションが最適なものになるか参考書のようなアセスメントでした」(ムスタファ氏)。

結果、本番稼働までのリードタイムは11カ月、すべてのフェーズがオンタイムで終えられたという。「IBMのサポートにより、実現フェーズに踏み切ることを急がずに、ブループリントの段階に時間をかけました。ここでしっかりと時間をかけて文書化することで本番稼働がスムーズになる。私たちの学びになりました」(ムスタファ氏)。

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