東京2020大会とその先の共生社会へ 事業活動につなげる企業の取り組み
相互に影響し支え合うことが「共生」
「豊洲ユニバーサルフェスタ―みんなのチャレンジ!」では、小学生が記者役になり、オリンピアン・パラリンピアンに取材し原稿作成も行う「子ども記者体験」も行われた。
東京2020組織委員会のアスリート委員である5名が参加したが、その内の一人が河合純一氏だ。河合氏はバルセロナ1992大会からロンドン2012大会まで6大会連続でパラリンピック水泳に出場し、5個の金メダルを含む21個のメダルを獲得。16年には日本人として初めてパラリンピック殿堂入りとなった。
現在、アスリート委員会副委員長として、アスリートの体験を生かして意見を発信したり提言を行ったりしているほか、障がい者スポーツへの理解を深める活動にも力を入れている河合氏は、イベント参加について次のように振り返る。「東京ガスとアスリート委員会で作った『子ども記者体験』でパラリンピアンに取材した子供たちは、障がい者スポーツが特殊なものではなく、『もっと速くなりたい、強くなりたい』という延長上にあるという点で、ほかのスポーツと同じであることがわかったと思います。子供たちがこうした体験を通じて感じたことを友だちや家族に話したりすることで、『共生社会』の本質的な部分が広まっていくと思います。こういったことが東京2020大会の大切なレガシーになると考えています。20年をきっかけに、『共生社会』を実現する取り組みを続けていくことが大切です」と語る。
為末氏は「一方が支える側で、もう一方が支えられる側という考え方も改める必要があるでしょう。かつては、オリンピックで得たノウハウをパラリンピック選手も取り入れるという流れがありました。しかし、最近では『障がいが走りにどのような影響を与えるのか』といった研究から新たな発見も生まれています。オリンピック競技とパラリンピック競技が相互にプラスになっているのが、まさに共生のひとつの形であるといえます」と語る。