建築市場で進むデファクト化を探ってみた システム建築が採用されている理由とは?
工場では常時2~3ヶ月分の材料をストックしているため、契約後45~60日で建方を開始できるという。標準的な1000平方メートルの倉庫の場合、確認申請から上屋工事完了まで在来工法で約190日間かかるケースでも、「yess建築」なら約120日間と70日間も短縮できるというから驚く。
「短工期」「低コスト」「大空間」を特長とする「yess建築」は従来、工場や倉庫などでの引き合いが多かったが、最近では、店舗、ライブシアター、スポーツやイベントに使うアリーナなどでも採用事例が増えているという。
「『在来工法だけでなく、システム建築でできるのではないか』と問い合わせをされる設計事務所・建設会社、さらには事業主様が増えています。システム建築が『デファクトスタンダード(事実上の標準)』になりつつある手応えがあります」(大島氏)
「ビルダー」「エレクター」とのネットワーク
システム建築は、建築現場で深刻化する人手不足を解決する選択肢としても期待されている。実際、100平方メートルから5万平方メートルクラスの規模に対応できる「yess建築」は、これまで約8300棟の受注実績がある。2017年度の受注面積は90万平方メートルを上回る見込みだ。
現在、小規模建物向けの既存商品「スペースMAX」「メタルガレージ」の経済性・デザイン性・強靭性を高める開発に取り組んでおり、来年度にリニューアル販売を予定している。
今後、システム建築が採用される機会も増えていくと考えられる。その中で、「yess建築」が設計事務所や顧客企業から高く評価されているのにはどこに理由があるのか。
「前述したように、システム建築専用工場を構え、積算・設計から施工までのプロセスを標準化していることに加え、『ビルダー』と呼ばれる地域の建設会社のネットワークで、事前の相談から見積、施工、メンテナンス、増築や改修まで地域のお客様企業の要望にきめ細かくお応えしています」(大島氏)。
現在、ビルダーの数は北海道から沖縄まで全国約1000社。また、同社では全国に100社以上の現場施工会社(鉄骨板金エレクター)網を構築している。
「このようなネットワークを活用することで、各地域の企業の固有のニーズに対応できるだけでなく、お客様の事業の広がりに合わせたさまざまな提案も迅速に行えます」と大島氏は胸を張る。