建築市場で進むデファクト化を探ってみた システム建築が採用されている理由とは?
景気の回復感が広がる中、企業の設備投資も活発になっている。各地で工場や倉庫などの建設が急ピッチで進む。これらのほか、店舗、スポーツ施設なども含め、さまざまな建物で、「システム建築」が採用される機会が増えている。高品質な建物が短工期、低コストで建てられるとして、施工実績が急増し、デファクトスタンダード(事実上の標準)になりつつあるのだ。中でもシェアを拡大しているのが「yess建築」だ。
「システム建築」に関心を持つ企業が全国で増えている
「最近になって、事業主様から直接当社に『物流センターをシステム建築でつくりたい』といったご相談を受ける機会が増えています。施工実績が増えるごとに、お客様の関心が高まっていることを感じます」と話すのは、横河システム建築の大島輝彦社長だ。
同社はシステム建築「yess建築(Yokogawa Engineered Structure System:イエス建築)」を開発・提供している。システム建築は、鉄骨、屋根、外壁、建具などの部材を標準化することにより高品質な建物を短工期、低コストで建築できるのが大きな特長だ。
部材の標準化といっても、設計の自由度は高い。「yess建築」なら1ミリメートルピッチで、スパン、間柱、桁行(建物の長さ)、軒高などを設定でき、要望に応じてクレーンの設置なども可能だ。最大60メートルものスパンに対応できるのも「yess建築」の強みだ。
「当社では、部材の標準化だけではなく、営業の見積・積算、生産設計、工場での実際の生産まで、ワンストップで行えるシステムを構築しています。また、千葉県袖ヶ浦市にはシステム建築専用工場を有し、鋼材の調達から設計、加工、輸送までを一貫して行っています。このため、短工期・低コストが可能になっています」と大島氏は話す。