羽田空港の機能強化はなぜ必要なのか

国際線の増便が日本経済に与えるインパクト

羽田空港機能強化による経済波及効果は約6500億円

そこで国土交通省は現在、飛行経路を見直すことで国際線の増便を図る計画を進めている。国際線の需要が集中する15:00~19:00のうち実質3時間に限って、都心の上空を到着経路に使用するという案だ。

この案などを実施すれば1日当たり約50便も増やすことができると試算されている。

この案について「ぜひ実施してほしい」という伊藤氏は、羽田空港の機能を強化しなければならない理由は、少なくとも三つあると指摘する。

東京という人口の多いビジネスセンターに近くアクセスがいいこと、24時間の運用が可能であること、国内線が集中しているので地方空港と結ぶハブになれること、という3点だ。「国際線を強化すれば、国内線と結ぶことで地方経済の活性化にもつながる可能性があります」と伊藤氏は言う。

この羽田空港の機能強化による経済効果は非常に大きい。国土交通省は、20年までに国際線の年間発着枠が3.9万回拡大した場合の日本全国に与える経済波及効果を試算しているが、それによると総事業費約400億円に対し、年間の経済波及効果(生産額増加)は約6500億円、税収増加は約530億円、雇用増加は約5万人が見込まれるという。

もちろん国際線が増便されれば、訪日外国人旅行者数の増加にも大きく寄与するのは確実だ。政府は訪日外国人旅行者数を20年には4000万人、30年には6000万人に増やす目標を立てている。

「東南アジアと北東アジアを合わせれば、その人口は欧州の4倍くらいになります。しかも今、この地域は中間所得層と富裕層が急増しています。そうすると海外旅行の需要も今後急増するでしょうから、将来的には1億人くらいの旅行者が来る可能性もあります」

と話す伊藤氏によれば、毎年1月に行われる中国のオンライン店舗のバーゲンセールでは、日本の衣料品が大人気だという。それは日本を訪れた中国人旅行者が日本の衣料品の品質の高さを知り、帰国後、周囲にその情報を伝えている効果も大きいという。訪日外国人旅行者が増えると、そういう副次的な経済効果ももたらすということだ。

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