羽田空港の機能強化はなぜ必要なのか 国際線の増便が日本経済に与えるインパクト

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日本経済の活性化に不可欠なのは、さらなるグローバル化。そのため現在、国土交通省は羽田空港の国際線の増便策を検討している。経済や社会の活性化における国際空港の役割、訪日外国人旅行者数の増加が日本経済に与えるインパクトの大きさなどについて、東京大学名誉教授の伊藤元重氏に聞いた。

海外とのネットワークの強化が日本の活路

2017年の日経平均株価は年間で3600円以上の上昇となり、バブル崩壊後最長の6年連続上昇となった。年明け後も企業業績の好調などを反映して、株価は堅調に推移している。伊藤元重氏も現状については前向きの評価をしている。

伊藤元重 Motoshige Ito
東京大学名誉教授。学習院大学国際社会科学部教授。
東京大学経済学部卒。1979年米国ロチェスター大学大学院経済学博士号(Ph.D.)取得。東京大学大学院経済学研究科教授を経て、2016年より現職。専門は国際経済学、ミクロ経済学。復興推進委員会委員長、安倍政権の経済財政諮問会議議員、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)社外取締役も務める

「日本銀行が目標とする2%のインフレ率達成とかうまくいっていない部分もありますが、GDP、企業収益、雇用、株価などは好調です。世界経済は08年のリーマンショックからの回復に手間取っていましたが、ここへきて安定軌道に乗ってきていて、日本も同様の状態です。経済が回復してきても物価や賃金は上がっていませんが、逆にそれが金利の上昇を抑えている側面があり、景気のいい状態はしばらく続くのではないでしょうか」

ただ、「日本は海外とのネットワークを強化しないと生き残れない」と、伊藤氏は付け加える。

「グローバル化が進み、今はアジア全域で国境を越えた分業が行われています。ドメスティックな市場だけでやっていける産業はもはやごくわずかしかありません。人やモノのボーダレスな動きは今後ますます活発になっていくでしょう。そういう意味で国際空港の果たす役割も大きくなっています」

首都圏の空の玄関口である成田空港と羽田空港も、グローバル化に伴う機能強化が求められている。だが、羽田空港は現在すでにフル稼働の状態であり、現状のままでは増便をするのが難しい状況にある。東京湾上空は飛行経路が集中しているため、仮に新たな滑走路を建設しても、発着回数はほとんど増やすことができないとされている。

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