働き方改革に「失敗」するマネジャーの特徴 「働きやすさ」だけではやりがいは生まれない
ICTが進化しても、人間の根本はそう変わらないと荒金氏は説く。
「働く個人の意識や価値観が大きく変容している今だからこそ、いたずらに変化に合わせるのではなく、人間が本来的に持っている心理や性質に立ち返ることです」
実は、これはまったく難しい話ではない。
「たとえば、自分が心から良いと思えることだから懸命に取り組むことができるとか、逆に会社や組織に不満がある時には上司の指示もあまり聞きたくないとか、そういった日常的な実感に注目するのです」
金銭よりやりがいが重視されたり、多様な価値観や働き方が認められたりと、労働環境は目まぐるしく変わりつつある。その一方では、業務が複雑化して成功体験も積み重ねづらいなど、従業員のモチベーションを一律に管理することが難しくなっている。そんな現代こそ、日常的で普遍的な実感を通じたやりがいの醸成が重要なのだという。
リアルなコミュニケーションから生まれる「やりがい」
「身近な実感や共感を通じて、従業員の心の内にやりがいを育てていこうとするときに、人事制度や報酬体系を変えてもあまり効果がありません。日々のリアルなコミュニケーションの中でこそ、そういった心境は育まれます。だからこそ昨今、1on1面談を導入する企業が後を絶たないのでしょう。カギを握るのは現場のマネジャーとなります」
マネジャーには、メンバー一人ひとりの心理状態を的確に把握し、かかわることが求められる。しかし実際は冒頭から述べているように「メンバーがやりがいを持ち、自ら創意工夫を重ねてくれない」ことに悩みを抱えるマネジャーが大半だ。その原因には、メンバーの心境を的確にとらえることの難しさがあると荒金氏は指摘する。
「当社で提供している『Mentality Management Survey』(メンタリティ・マネジメント・サーベイ:以下MMS)は、従業員が仕事に臨む心の状態(ワーク・メンタリティ)を測定し、マネジャーにフィードバックするものです。このサービスで、マネジャーなど上司から見た評価とメンバー自身の気持ちのギャップを提示すると、いかにマネジャーがメンバーの心境をとらえられていないかがよくわかります」