「個別指導」が家庭教師より生徒を伸ばすワケ 2020年度の教育改革に親も子も戦々恐々

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個別指導とは、一つの「教室」という形をとりながら、その中で講師が生徒一人ひとりの理解度・学習進度に合わせて指導する指導方法。明光義塾では、講師1人がおよそ生徒3人を指導している。

明光ネットワークジャパン
田上節朗 社長

80年代当時としては画期的なスタイルだったが、現在では、学習塾・予備校市場において約45%※1を占めるほどに成長した。その中で、No.1個別指導塾※2である明光義塾は全国で2000教室以上を展開し、生徒数13万人を誇る。数々の個別指導塾がしのぎをけずる中で、なぜ多くの生徒、保護者から選ばれ続けてきたのだろうか。その理由を田上社長は次のように語る。

「個別指導塾の中でも、明光義塾はかねてより『自立学習』を重視してきました。講師が一方的に解説し、問題の解き方を教えるのではなく、生徒に自ら考えさせ、自分の力で答えにたどりつくように導いていく。これを繰り返すことで、生徒が自分で学習に取り組む力を伸ばしてきたのです」

また、家庭教師やマンツーマン指導の塾では丁寧な指導はできるが、講師が生徒につきっきりであるために、どうしても「講師が生徒に教える」という主と従の関係が生まれがちだ。つまり、生徒の理解度に合わせて学習を進めることはできても、生徒が自ら学ぶ力を育成することにはつながらない。

出典:※1、2ともに矢野経済研究所(教育産業白書_2017年)

「自ら進んで勉強しない」「計画を立てて勉強しない」が保護者の悩みの上位に。子どもの自立した学習を期待している

親世代とはまったく異なる授業内容に

自ら学習に取り組む力。これは、2020年度教育改革において重要なキーワードとなりそうだ。「明治の学制実施以来の大改革」とも言われるほど歴史的な方向転換と位置付けられる教育改革だが、まずは具体的な変更点を見てみよう。

大学入試センター試験は、「大学入学共通テスト」に変わり、内容もこれまでの知識や技能を問う問題から思考力、判断力、表現力も評価する内容に変化する。これまでは、マークシートによる選択式の問題のみだったが、国語と数学で記述式問題が加わる。また、英語では英検やTOEFLといった民間の資格検定試験の結果が活用される予定だ。

小学校でも「新学習指導要領」の全面実施に伴い、授業内容に大きな変化が生まれる。たとえば、英語学習のスタートが2年早まり、3年生から「外国語活動」としてコミュニケーションの基礎を育成。5、6年生では英語が正式な教科となり、「聞く・読む・話す・書く」の4技能をバランスよく身に付ける。

他の教科においても、これまでのように知識を詰め込むだけでなく、さらに思考力、判断力、表現力を育てる内容となり、当然ながら定期テストでもそういった能力を問われる問題が増えることになりそうだ。

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