「東京都共助社会づくりを進めるための社会貢献大賞」に見る、企業としての取り組み

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社員のスキルや専門性を生かした
科学教育などを教育現場で実施

【企業部門/大賞】日本アイ・ビー・エム株式会社

日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、社員の専門性を生かし、小・中・高校、科学館や地域のコミュニティなどでの科学教育などを長年にわたり展開してきたことが評価され、大賞を受賞した。

日本アイ・ビー・エム株式会社
マーケティング&コミュニケーション/社会貢献 部長
小川 愛

同社社会貢献部長の小川愛氏は、「企業の専門家が直接子供たちを指導することで、『本物』との接点になるだけでなく、子供たちの今後の進路やキャリアへの気づきを提供しています」と話す。実際に、学校への出張授業などでは、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などに関連する職業に就きたいと感想を述べる子供たちも多いという。

「単に面白いだけではなく、教育の現場の先生方やNPO法人など関連団体と連携しながら、学習指導要領に沿ったプログラムを提供しています」(小川氏)という点も、多くの学校で支持されている理由だろう。

同社の取り組みに関して注目すべきは、子供たちはもとより、社員にとっても効果があることだ。「子供たちに教えることを通じ、社員が自分自身の成長や社会・コミュニティとの接点や地域への貢献を考えるきっかけになっています」と小川氏は紹介する。

IBMはグローバルカンパニーとしても、『Be A Good Corporate Citizen(よき企業市民たれ)』を信条とし、社会貢献活動を重視した組織風土が根付いている。現役の社員だけでなく、家族や退職者に対してもボランティア活動の機会を提供しているのも特色だ。空き時間を利用してオンラインや在宅で参加できる活動などもあるという。

「今後も、多様な社員のスキルや専門性を生かした社会貢献活動を広げていきたい」と小川氏は結んだ。

婦人フォーマルメーカーとしての
特性を生かした活動を展開

【企業部門/特別賞】株式会社東京ソワール

東京ソワールは婦人フォーマルウエア専業のリーディングカンパニーである。社会貢献についても、同社の特性を生かした活動を着実に展開していることが評価され、特別賞を受賞した。

株式会社東京ソワール
代表取締役社長
村越眞二

同社代表取締役社長の村越眞二氏は次のように語る。「当社の社会貢献活動は、2007年に社員の有志によって始まりました。その後、全社的な取り組みとして会社としても支援を行っていますが、当初から、当社ならではの活動、そして地域に根ざした活動に力を入れてきました」

2009年には港区に立地する社会貢献担当者の連絡会「みなとネット」に参加。港区主催の中高生共育(ともいく)事業や区内の社会福祉協議会と連携したシニアのファッションショーの開催などを実施してきた。「高齢者の気持ちを明るくするだけでなく、外出や地域交流などにつながるきっかけになると評価いただきました」と村越氏は振り返る。

同社ではこのほか、港区内の児童館、中高生プラザ、特別養護老人ホームなどでのイベントにも協力している。小学生を対象にした、フォーマルウエアのデザインなどの職業体験ができる講座も好評だ。

地元区に貢献する企業として存在感を発揮しているが、村越氏は「社会貢献活動はあくまで社員のボランティア。『やらなければならない』と考えると負担も大きくなります」と話す。そのため、活動内容などについては社員からの提案を尊重し、会社はそれを承認し、バックアップするスタイルだ。

「今後も、地域と連携した活動を実施するとともに、港区の他の企業と一緒に、社会貢献の機運を高めていきたい」と村越氏は力を込める。

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