在庫300億円超の専門商社を支えるERP 激動の時代を生き抜く先手必勝のIT活用

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 内田 多くの企業は、ほかの企業が導入して実績を出したのを見て自分たちも導入しようとします。しかし今、数見さんは他社がまだ使っていないからこそやるとおっしゃった。その考え方は素晴らしいですよ。

数見 いや私の考えではなく、当社代表取締役社長の中山哲也のポリシーが会社全体に浸透しているものです。

膨大なデータをAIで瞬時に解析

数見 当社の場合、在庫の増加が売り上げの増加につながっています。そこで現在、33万アイテムの在庫を2023年12月末までに50万アイテムにする目標を立てています。これは経営戦略上の最重要目標で、全部署がこの目標実現に向けて努力しています。ただ、30万アイテムを35万アイテムに増やすのであれば、今までの延長線上でも可能でしょうが、50万アイテムとなると今までとは違うやり方や仕組みを導入しなければ到底不可能です。逆に、在庫というリアルな経営資源は、デジタル的なアプリケーションを用いることで飛躍的に価値を上げる可能性があると思っています。

トラスコ中山
執行役員 経営管理本部 
情報システム部 部長
数見 篤

内田 御社の取り扱うデータ量、1日の業務トランザクション量は想像を絶するものだと思います。そのデータの処理と活用を日常のオペレーションでこなすのがERPだとすれば、瞬時に解析するのがAIです。

数見 2018年の春に、AIを活用した「商品問い合わせシステム」を導入する計画です。これは日本IBM様に協力いただいており、IBM Watson Explorerを基盤にしたシステムを構築します。メールやウェブだけでなく、自然言語の問い合わせに対しても、膨大な量の商品情報から必要な商品情報を瞬時に検索できるシステムで、システムリリースは段階的に行い、2019年には当社のECサイトに組み込み、その後さらに音声入力機能など機能拡張も継続的に行っていく計画です。

日本IBM
グローバル・ビジネス・サービス事業
理事 次世代EA事業統括責任者
内田 真治

 内田 数見さんはよくご存じでしょうが、AIというと、持ってきてすぐ使え、勝手に学習してくれるというイメージがあります。しかし、実際は子供みたいなもので……。

数見 育てないといけない。

内田 そう、非常に優秀な子供で、決して忘れないし間違わない。ただ、育てるのに手間も時間もかかる。だから早く育てたほうがいい。そうすれば早く親に還元してくれます。

数見 トラスコ オレンジブック AI課には商品知識に長けた社員が集まりました。メンバーは今、辞書整備などで苦労していますが、その苦労がこれからの競争優位性になっていくのだと信じています。

「S/4 HANA」は第4世代のERP

内田 ERPの活用についてはどうお考えですか。ERPはもともと企業の中の比較的限られたデータを統合管理して業務を効率化するという概念で動いてきましたが、今はSAP社自体が、デジタルコアとして新たなソリューションを構築しようとしています。御社もSAP社のERPをお使いですが、SAPの「S/4 HANA」はインメモリーデータベースを採用しており、スピード、セキュリティなどすべての面で優れた第4世代のERPです。これによってリアルタイムで経営情報を一元管理することが可能になりました。御社のような企業こそ「S/4 HANA」をお使いいただきたいと思います。

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