オリンピックの知られざるもう一つの舞台 ビジネス視点の平昌2018冬季オリンピック

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異国での滞在を心地よく過ごせるよう配慮が行き届いている。 写真下は女子フィギュアスケート銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ選手

「平昌2018冬季オリンピックにおいても、期間中に現地で『P&Gファミリーホーム』を開設しました。『P&Gファミリーホーム』には、オリンピック選手とご家族が気苦労の多い異国での滞在を心地よく過ごしていただきたいという目的がありますが、つい忘れがちな家族の大切さや感謝の念を改めて考えていただく場にもしていただきたいという意図があります。

消費者の皆様方にも、オリンピックの感動だけではなく、選手と家族のつながりを通して、ご自身のお母様やご家族への気持ちを再認識していただければと思います」と松浦氏は一連のキャンペーンの趣旨を語る。

もちろん、そこにはP&Gが日本そして、世界中の母親を応援する企業であることに気づき、その姿勢に共感してほしいとの含意がある。オリンピックという特別なイベントを活用して、言外にある狙いを消費者に響き渡らせるプロモーションの手法は、世界トップクラスのマーケティング力を誇る同社ならではのものと言えるだろう。

若手社員がリーダー、東京2020へ

プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン オリンピック マーケティングマネージャー
秋山史門

しかも驚くことに、こうしたビジネスモデルやプランの設計全体を担うのは同社の若手社員だ。この大役を司ったオリンピックマーケティングマネージャーの秋山史門氏は、「若手自身がプロジェクトの目的や目標を設定し、アイデアの発起人になれるなど、多くの裁量権を与えてくれるのがP&Gの優れた文化だと思っています。

オリンピックの場合、『Thank You, Mom』というグローバルのアイデアを『ママの公式スポンサー』というローカルな展開に落とし込み、P&Gというコーポレートブランド及び製品ブランドへの共感につなげていくこと。そのためにCMやプロモーションを企画立案し、小売店様と強い協業を結ぶこと、そして最終的に消費者の皆様に購買行動を起こしていただくまでの設計全体が、私の仕事になります。

特に、小売店様との協業は非常に大切で、すでに東京2020に向けて小売店様からご要望やアイデアをいただき、どのように展開を広く大きくしていくのか協議しているところです」。

秋山氏は続ける。「2020年に向けての取り組みはもう始まっています。この先、先頭に立って大きな役割を担っていくのは、これからP&Gに入社してくる新入社員であり、きっと大きな牽引力になってくれると考えています」自由で革新的な発想力に富んだ若手社員の活躍と、P&Gのオリンピック戦略がどう進化していくのか今後も注視したい。

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