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政治・経済・投資 #女子アナリスト4人組、金融市場を駆け巡る

2018年は円が最弱通貨になるがドルも弱い カギは米国のインフレ率の動向だ

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  • 尾河 眞樹 ソニーフィナンシャルグループ(株)執行役員兼金融市場調査部長 チーフアナリスト チーフアナリスト
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さて、我々の予想に反して、2018年に円が最強通貨になるとすれば、それは何が要因となるだろうか。あえてリスクシナリオを挙げるとすれば、以下のようなものになろう。

第1に、米国のインフレが予想をはるかに超えるペースで急激に加速し、FRBが金融引き締めを急がなければならないケースだ。「ゴルディロックス(適温経済)」はあくまで「低インフレ」が前提となっているが、「適温」ではなく「加熱」した場合、米国債券市場では長期国債のロングポジションの巻き戻しにより、長期金利が急騰することになるだろう。米国では税制改革法案の行方が話題となっているが、足下の米国経済は減税などなくても順調に拡大している。これに景気刺激策が加われば、かえって景気の過熱を招くリスクは否めない。

当社では、税制改革法案の効果は18年の成長率を0.3%ポイント押し上げる程度で、今のところ影響は限定的とみているが、今後注意すべきポイントである。金融引き締めによって米金利が上昇すれば、初動はドルが上昇する可能性が高いものの、その後も急速な利上げが続くようなら、米国株の急落によってむしろ円が急騰するだろう。

リスクオフが起きると円高は大幅に

第2には、これと反対に米国経済が予想より早いタイミングで減速し始めるケースだ。早期にFRBが金融の正常化のサイクルから、再び金融緩和にシフトしなければならない兆候があれば、ドル全面安となるなか、円高・ドル安が進行しよう。

3点目は政治リスクだ。トランプ大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、テルアビブの米国大使館をエルサレムに移転する計画が明らかになったことで、先週は株価が大幅に下落するなど世界の金融市場に不透明感をもたらした。こうしたトランプ大統領の政策に対する不確実性、ロシア疑惑、中東情勢の不透明感、北朝鮮問題、欧州、ユーロ圏の足並みの乱れなど、世界の政治的な火種は枚挙にいとまがない。どれをとっても深刻化した場合には、リスクオフによる円高の進行が大幅なものになるだろう。

※女子アナリスト4人組、次回の掲載は27日です

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