オリックス、全国へ地熱発電推進の勝算とは

事業領域を拡げてきたからこその強みがある

「そのほかの再生可能エネルギーと違って、事業化にあたっての資源開発が必要とされる地熱発電は、参入障壁が高いと言われています。オリックスが地熱発電への参入を検討し始めた当時、ノウハウをもつ専門家が日本国内には少なく、地熱発電に関する情報もあまり出回っていませんでした。一方で、ホテルや旅館の運営に取り組む中で2002年に取得した『別府 杉乃井ホテル』は、1981年から自家用としては国内最大規模の杉乃井地熱発電所を運営していました。参入障壁が高いニッチな分野であるからこそ、杉乃井地熱発電所のノウハウを生かすことで、オリックスが優位に開発を進めていけると考えたのです。実際に、地熱発電の事業化を検討するにあたり、杉乃井ホテルに2週間ほど泊まり込んで施設を研究しました。このように、多角的な事業を展開する中で得たノウハウを新規事業の立ち上げに生かすことができるのは、オリックスの強みだと考えています」

海外へも積極的に展開

2017年には、地熱発電における世界的企業であるOrmat Technologies(以下、オーマット)に700億円あまりの出資をしたことが話題になった。「オーマットは資源開発から発電設備の製造、販売、組み立て、そして発電所の運営まで、地熱発電事業の全領域をカバーしている世界で唯一の会社です。技術レベルも高く評価されていて、日本でもすでにいくつかの発電所がオーマットの設備を導入しています。オーマットとオリックスが連携することで、そうした設備のメンテナンスなどをよりスムーズに進められると思っています。逆に海外では、オーマットの幅広いネットワークを活用しながら事業を拡大していこうと考えています」

オーマットが保有・運営するMcGinness Hills Complex発電所(米・ネバダ州)

新規分野への参入は必然

そもそも、なぜオリックスは再生可能エネルギー分野へ進出したのかという素朴な疑問が生まれる。

「実はオリックスは、廃棄物処理のビジネスから、環境エネルギー分野へ参入しました。オリックスの祖業はリースであり、リース終了後に返却された物件を適正に処理することに取り組んできました。そうして蓄積してきたノウハウを生かして、リースや融資などで取引があるお客さまの廃棄物処理に対応するサービスの提供を開始したのです。その後も、世の中のニーズの変化に合わせて、省エネルギーサービスや、電力小売事業など、既存事業で蓄積したノウハウを生かして隣接する分野へと事業領域を拡大していきました。そして、FITの制定を受けて、再生可能エネルギー事業に参入したのです。このように、事業環境の変化に合わせて新たな分野へと参入してきましたが、オリックスという会社の成り立ちを考えると必然の道を辿ってきているのです」

地熱発電事業に立ち上げ時から携わってきた田巻氏は、実は、この事業の「言い出しっぺ」なのだと告白してくれた。

「FITが制定された当時、私は経営企画部に所属していました。再生可能エネルギー事業を今後どのように進めていくべきかを検討する中で、『地熱発電をやったら面白いんじゃないですか』という提案をしたところ、事業開発部に異動して、自ら地熱発電事業を進めることになりました。このようにオリックスには、一般の社員でも、新規事業を自ら発案し、推進していける環境があります。一方で、ファイナンスを起点として事業を拡大してきた会社であるがゆえに、リスク要因を慎重に見極める文化もあり、痛手を負う前に撤退の判断を下す場合もあります。成功した事業が注目されますが、裏には擦り傷や切り傷を抱えていることも多いのです。このようにトライアンドエラーを繰り返すことで、強い事業が生まれていくのだと思います」

より一層身近になったオリックスの事業・サービス

再生可能エネルギー事業を手がける必然性が理解できたところで、田巻氏が社員として、オリックスについて世の中に伝えたいことを伺った。

「最近は、コンセッション事業として空港の運営に携わっていたり、水族館やホテル・旅館を運営していたり、生活に身近なところで知らないうちにオリックスと接点を持っていただく機会が増えてきているように感じます。実際に、家族など身近な人が、私自身も気がつかないうちに、オリックスが提供する商品・サービスのファンになってくれていたことがありました。当社の商品・サービスだと気づいていただいたときに、『さすがオリックス』と言っていただけるように、営業担当者として日々の業務に取り組んでいきたいと思います」

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