サイゼリヤ、バイト女性「セクハラ」自殺の謎 彼女が遺した詳細な日記が示すのは…
「事件の後、1カ月ぐらい会社を休ませてもらって、明けて初出勤の電車の中で失禁してしまいました。立っていて自分では全く感覚がなかったんですが、周りがざわついて私から離れていって。床を見るとダラーッと小便が垂れていました」
その日は出勤をあきらめ、病院を受診した。
「自律神経がおかしくなって、脳と体の伝達がうまくいっていないと言われました。仕事はしていますが、電車が苦手になり、いまはなるべく早めに出て、途中で乗り降りを何回もして休み休み出勤しています」
実父と実母は一人娘だった女性が4歳のころに離婚。女性を引き取った実母は再婚し、弟が生まれた。実父も再婚して1女1男をもうけた。女性は二つの家庭を行き来して、弟2人と妹をかわいがった。
「私が望んだのですが、離婚後は娘は私を下の名前で呼ぶようになりました。行きがかり上、下の2人の子もそうなりましたが(笑)。娘は頻繁に遊びに来て、中学に入るまでは毎夏伊豆の白浜と、千葉の館山に旅行に行きました。泳ぐのが好きで、ボディーボードも上手でした」
勉強はあまり好きではなかったが、学習塾を経営する実父のいとこが、折にふれて面倒を見ていた。そのいとこが言う。
「彼女は絵が上手で、高校も美術系に進学したのですが、当時からコンビニエンスストアでバイトをしていて、そっちのほうが熱心でした。僕にも喜々として仕事の話をよくしていました」
高校卒業後、サイゼリヤでアルバイトを始めると、それにのめり込んでいるように見えた。
「専門学校も途中で辞めてしまいました。心配で3回ほど食事がてら様子を見に行きましたが、遅刻の多かった学生時代と打って変わって、自分の勤務時間の30分も前に店に入り仕事の準備を始めているのを見て、目標を見つけたんだとうれしくなりました」(実父のいとこ)
詳細な日記が示すこと
しかし、女性が正社員を目指して「定時社員」になったころ、件の副店長が女性の教育係になる。定時社員とは、月平均労働時間が120時間以上の準社員。サイゼリヤでは資格者からのトレーニングを受けて等級を上げていき、年間30~40人が正社員に登用される。女性にとっては、副店長が昇級を左右する「資格者」だったということだ。
13年12月ごろ、女性は実母にこう打ち明けている。
「副店長の距離感がおかしい。近すぎる」