なぜ、日本企業はCXの取り組みで出遅れてしまったのか? CXフォーラム2017
特別講演I
いつでもどこでもあなたの立場で
リフォーム工事等のサービスを担うLIXILトータルサービスの牧野秀樹氏は、商品決定権を持つエンドユーザー顧客に選ばれるための取り組みを説明。「トラブル経験後に企業の対応に満足した人は、トラブル未経験者より離反しにくい」というグッドマンの法則に着目してCX強化に着手。VOC(顧客の声)分析やカスタマージャーニー作成で離反につながる痛点を把握。お手入れ法の説明充実や修理における対応スピードの改善など、メンテナンスサービスの強化に取り組んだ。今後も「社員、協力業者も含め、顧客の立場を考えた意識、行動の変革に取り組む」と述べた。
課題解決講演II
顧客の声分析を活用したQVCの目指すカスタマーエンゲージメントについて
(ベリントシステムズジャパン提供)
テレビ通販とイーコマースを融合させたリテールビジネス事業をグローバル展開するQVCジャパンの増川俊哉氏は、2015年のグローバルCXチーム立ち上げを機に開始したVOC活用の取り組みについて語った。顧客の声に潜在する要望や変化にいち早く気づくにはCRMデータに限界を感じ、ベリントシステムズの会話音声分析を活用。週約15万のコール音声のマイニングを行いカスタマージャーニーのフェーズに沿ったキーワードを抽出。気になるフレーズをピンポイントで確認し関連部署にフィードバック。「重要なのは、全てを記録することではなく、新しい変化をスピーディに関連部署と共有すること」と述べた。
特別講演II
CX導入による消費者中心主義へのカルチャーシフト
化粧品グループ、ロレアルの向山東文子氏は、CX導入経緯を中心に話した。同社は購買動機による顧客セグメントを戦略に活用してきたが、2013年に、消費者中心主義などを掲げた経営戦略・マーケティング開発本部を設置。NPS(ネットプロモータースコア)を導入し、コンシューマー ケア サービス部門が、推奨者を増やすことを通じて成長に貢献すると宣言。CXに関する社内セミナーを開催するなど、その浸透を図ってきた。「企業文化は一朝一夕に変えられない。明確なビジョンを持ち、地道なアクションを積み重ねることが重要」と語った。