ギリアドが目指す、新たな社会貢献とは 「薬の提供にとどまらない」製薬企業の挑戦

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現在、同社ではB型慢性肝炎の治癒を目指した薬剤の開発、急速に増加している非アルコール性脂肪肝炎(NASH)治療薬の開発などが進められている。このように、肝臓領域では一定の地位を確立している同社であるが、今後はスペシャリティファーマとしての地位をさらに確立すべく、がんや炎症性疾患の分野でも開発が進められている。

世界中のあらゆる人に薬を届けるために

厚生労働省の統計によれば、日本のエイズウイルス(HIV)感染者は疾患予防啓発が進んだこともあり減少傾向にあるが、全世界を見るとWHOの統計で3300万人以上がHIVに感染していると言われており、未だ人類の生存を脅かす感染症であることは間違いない。特に、アフリカの発展途上国では2200万人以上が感染していて、非常に深刻な事態となっている。

 ギリアド・サイエンシズでは、これまで数多くの抗HIV薬を開発してきた。これらの治療薬は先進国では感染患者に行き渡っているものの、開発途上国では経済的問題から使用することが困難となっていた。そこで同社は世界中のより多くの患者さんに薬剤を提供するために、125を超える発展途上国において薬の価格を大きく引き下げる「グローバル・アクセス・プログラム」という施策を実施している。2014年11月末時点に、これらの開発途上国で同社の抗HIV薬を受け取った感染者は約670万人にのぼっていて、この領域では非常に大きな社会貢献となっている。

 価格の引き下げ以外にも、医薬品へのアクセスを容易にするための試みが多角的に行われている。同社は世界各国の後発医薬品企業と非独占的ライセンス契約を結び、HIV感染症およびB型慢性肝炎の治療薬について、高品質・低価格の後発医薬品(ジェネリック医薬品)を生産する権利を付与している。また、インドでは、後発医薬品企業とライセンス契約を結び、C型慢性肝炎治療薬の後発医薬品を開発途上国91カ国で提供することを認めているほか、ジョージアでは特許権を放棄するなどして、できるだけ多くの生命の危険に晒されている患者さんを救うべく、同社の開発した革新的医薬品にアクセスできるシステムを世界的に拡大している。

 そのほか、同社はマラリア治療薬を寄付するパートナーシップ契約をWHOと締結。現在、開発途上国において5万人以上のマラリア患者にこの治療薬が使用されている。

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