ギリアドが目指す、新たな社会貢献とは 「薬の提供にとどまらない」製薬企業の挑戦

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1987年に患者さんとその家族に笑顔をもたらすことを使命として設立されたギリアド・サイエンシズは、今年30周年を迎えた。これまで当社は医療ニーズがまだ満たされていないエイズ、インフルエンザ 、肝炎などのウイルス性疾患領域において革新的な治療を創出し、開発、製品化するバイオファーマ企業として発展してきた。今後は本業において、オンコロジーなど治療分野の拡大につとめる一方で、行政やNGOと連携したインフラ支援など、患者さんのためのあらゆる支援をこれまで以上に行っていく。科学だけではできない、ギリアドの新たな取り組みが期待されている。

世界中の「治したい」にこたえるために

ギリアド・サイエンシズは、1987年、米国カリフォルニア州フォスターシティで設立された研究開発志向のバイオファーマ企業である。設立以来、未だ満たされていないアンメットメディカルニーズにこたえ、生命を脅かす効果的な治療法のない疾患の治癒を目指して、研究開発を続けている。これまでにエイズ、インフルエンザ、B型肝炎、C型肝炎などの領域で革新的な新薬を世に送り出し、多くの患者さんの期待にこたえてきた。現在では約9千人の従業員が働くグローバル企業へと成長している。この30年を通じて治療法の開発で達成できたことは、1)治療から治癒へ、2)服薬が簡便であること、3)革新的であること、4)アンメットニーズを満たしていること、の4点であり、この方針は今後も同社のポリシーとして未来へ継承されていくことになる。

 日本法人は2012年に設立された後、まず経口C型肝炎治療薬を上市し、それまでインターフェロン治療しかなかったC型肝炎治療を大きく進歩させてきた。C型肝炎は日本には約100万人の感染者がいると推定されているが、感染者の約70%が慢性肝炎になるといわれていて、その後、肝硬変、肝がんへと進行する。1990年代にインターフェロンがC型肝炎治療薬として使用可能になったが、インターフェロンは注射薬であり治療のために高頻度の通院を必要とする。また、副作用が強いこと、日本人に多いジェノタイプ1型のC型肝炎ウイルスに効きにくいという側面があった。ギリアド・サイエンシズは、まずジェノタイプ2型のウイルスに効果のある経口治療薬を上市し、その後、日本人患者の多数を占めるジェノタイプ1型に効果のある経口治療薬を相次いで上市してきた。1日1回1錠という服薬の負担軽減を考えた処方であり、これにより患者さんは高頻度の通院と強い副作用から解放されQOL(生活の質)が著しく向上したのである。

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