定番商品が起こす快進撃に驚きの声
「今夏はビール全体が不調の中で、わが社ではリニューアル後の『一番搾り』の販売数量は前年比で約30%も増えています。テレビCMなどのPRも奏功したと思いますが、意外なほどの健闘ぶりでした」。そう驚くのは、小売り現場のビール販売動向を見つめる大手コンビニのビール類担当者だ。消費者の嗜好の多様化に伴って、近年のビール消費は伸び悩んできた。特に、今夏は、東日本を中心に記録的な長雨、酒類の安売り規制強化といった逆風も強まっていただけに、「新・一番搾り」の販売数量の増加は目を引いた。
「ビール類は、クラフトビールや新ジャンルなど多様な切り口の商品を発売することで嗜好の多様化に対応していますが、ビール類が下降トレンドにあることは否めません。その中で『一番搾り』のような定番商品がこれほど伸びるのは、ほとんどありえないことです」と大手コンビニのビール類担当者が指摘するのも、近年のビール市場の動向が背景にある。
「ビールのおいしさ」と全力で向き合う
「一番搾り」は「日本の皆様が毎日でも飲みたいと思ってもらえる美味しいビールをつくろう」と開発され、1990年に発売された。2020年には30周年を迎える、キリンビールの基幹ブランドである。今回は、2009年と2014年に続いて3回目の大幅リニューアルとなるが、注目したいのは3年連続で販売数量は前年超えを記録していることである。それでもキリンビールがリニューアルに踏み切ったのは、これまでこだわってきた一番搾り麦汁しか使わない「麦のうまみ」をさらに追求し、「ビールってやっぱりうまい」という驚きと喜びを消費者に再び体感してもらいたかったからだという。
「一番搾り」のブランドマネージャーを務めるキリンビールの山口洋平氏は、「麦100%ビールのオールモルトビールというと『重たいビール』をイメージする人が多いですが、『一番搾り』は麦のうまみはありながら、すっきりとした飲みやすい味わいに仕上げています。キリン独自の一番搾り製法は、和食の一番だしのような澄んだ上品なうまさをお楽しみいただけるビールにしたいという想いから生まれた製法ですが、今回は、その点をさらに深く追求した”原点回帰”とも言えるリニューアルです。食品・食料カテゴリーのど真ん中の価値となる『おいしさ』を追求し、日本の皆様ならではの繊細な味覚を満足させる味わいにこだわり、いまの時代に飲んでもらえる新しいビールの本流を目指しました」と説く。
ビール類カテゴリー戦略担当ビールグループ ブランドマネージャー
山口洋平
「新・一番搾り」は、前回のリニューアルから4年かけて、これまでこだわってきた一番搾り麦汁しか使わない「上品な麦のうまみ」をさらに追求し、技術者約100人が1000回以上の試験醸造という記録的な試行錯誤を行った末に完成した。原料や酵母、発酵条件の変更など醸造工程すべてに検討を加えて、雑味・渋味を抑え、「一番搾り」の特長である麦のうまみをさらに引き出すことに成功したのだ。山口氏は、こう話す。
「日本ではビールを飲むシーンは、さまざまです。お風呂上がりに飲む方もいれば、食事中に飲む方もいる。ですから、多くのシーンで選んでもらえるように個性を尖らせることよりも調和のとれた味が大事になります。日本の皆様においしいと感じていただける味わいを追求し、一番搾り製法で実現した上品な麦のうまみ。新しい『一番搾り』は、多様な味覚にフィットしたバランスの取れた商品に仕上がったと自負しています。たとえば、お料理と一緒にお楽しみいただく場合、だし巻きをはじめ、和食のだしを使った料理と相性が良いです。実際の香味分析結果でも、香味のバランスを示すチャートが相似に近い形になり、お互いにじゃまにならず、補完し合える関係の味になっていると科学的にも示すことができます」


試飲体験で「おいしい!」と絶賛の声続々
堤真一さん、満島ひかりさん、鈴木亮平さん、石田ゆり子さんら4人を起用したテレビCMでは、サンマとサザエの七輪焼き、テレビ野球観戦、出張帰りのそば屋、ゴルフの後、と「新・一番搾りに幸せを感じる」さまざまなシーンが登場する。いま、「とりあえずビール」と選ばれてきたビールは、お酒の種類、嗜好の多様化に伴って、あえて選んでもらえるビールへの進化が求められている。そうした時代にあって「ビールのど真ん中を目指したバランスのいい味」(山口氏)の「新・一番搾り」は、日本のビールのあるべきかたちとは?という問いに対して、キリンビールがたどり着いた一つの答えなのかもしれない。
「味には絶対の自信がありますので、まずは『新・一番搾り』を一度口にしていただきたい」(山口氏)と、キリンビールは全国で300万人規模の参加を目標にした試飲体験にも注力している。その取り組みの中の一つとして「新・一番搾り『おいしい!』体験会~一番搾り史上最高の味わいを~」が全国7都市で開催された。会場では、「新・一番搾り」や、つまみのほか、製造過程で最初に出てくる一番搾り麦汁だけを使った一番搾りの特長をよく知ってもらうために、うまみが強く雑味の少ない一番搾り麦汁と、二番搾り麦汁の味比べも楽しめる「新・一番搾り まるごと体感セット」を販売。「新・一番搾り」を飲んだ人たちからは「おいしい」という声に加え、「どんな料理にも合いそう」、「雑味がなくてすっきりしている」、「麦のおいしさが際立っている」といった絶賛の声が寄せられているという。また、これまでの一番搾り愛飲者からの評価も「一段と飲みやすくなった」と、好意的に受け止められるなど、実に98%もの方が「おいしい!」といったプラスの評価をしているという。こうした「新・一番搾り」の体験者の反応こそが、「おいしさ」を追求したキリンビールを市場が好意的に受け入れた証ではないか。「一番搾り」のリニューアルは、まさに〝進化〟と言えそうだ。
日常的にビールを飲む方も、普段は酎ハイしか飲まない方も、今日は晩御飯のお供に「新・一番搾り」を試してみてはいかがだろうか。こんなに美味しかったっけ、とビールを見直すきっかけになるかもしれない。
