就活生の交通費受給「ウソの申告」が招く問題 友人宅に泊まったのに宿泊費もらっていい?

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企業が返金を求めることも可能か。

「そのような制限を超えた金額を、制限の範囲内と偽って請求したら、制限を超えた金額について、企業は、不当利得の返還請求権を行使することができます。

不当利得というのは、契約などの法律上の原因がないにもかかわらず、一方が利益を得て他方が損失を被った場合に、その利得の返還請求ができるという制度です。今回のケースでは、学生はインターンシップ契約で定めている範囲を越えて利得を得ており、企業は損失を被っています。そのため、利得分について返還請求ができることになります(民法703条)」

場合によっては刑事事件として詐欺罪が成立

詐欺罪にはあたらないのか。「詐欺罪は、ある者が他の人を騙し、その人に経済的な処分をさせることによって利益を得ることで成立します。

今回のケースでは、実際には請求できないお金を、請求できるお金であると偽って企業の担当者を騙し、その人に支払いの手続をさせることによって利益を得ているわけですから、詐欺罪の構成要件に該当します。そのため、刑事事件として詐欺罪が成立する可能性も十分ありえるでしょう」

寺岡 幸吉(てらおか・こうきち)弁護士
社会保険労務士を経て弁護士になった。社労士時代は、労働問題を専門分野として活動していた。弁護士になった後は、労働問題はもちろん、高齢者問題(成年後見や高齢者虐待など)などにも積極的に取り組んでいる。
事務所名:弁護士法人おおどおり総合法律事務所川崎オフィス

 

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