IoTで描く働き方の未来

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IoTと不動産サービスが融合した攻めのCRE戦略の提案へ

ジャーナリスト
福島 敦子
ATSUKO FUKUSHIMA
津田塾大学卒。NHK、TBSで報道番組を担当。テ レビ東京の経済番組や、日本経済新聞、経済誌な ど、これまでに700人を超える経営者を取材。経済・ 経営をはじめ、環境、コミュニケーション、農業・食など をテーマにした講演やフォーラムでも活躍

福島 不動産の使い方が働き方改革に、さらには企業の業績・価値向上に変革をもたらすとなると、経営者にとっても企業不動産(CRE)は重要なテーマであると言えそうです。

河西 そのとおりです。企業が所有したり賃貸する不動産を効率化するCREマネジメントはコスト削減の為に極めて重要です。最近は一歩進んで、売上を伸ばす企業価値向上にとっても戦略的な重要性が一層増しています。

こうした中、当社は今年6月、働き方の変化が不動産戦略に与える影響を分析した「FutureofWork」レポートを発刊しました。このレポートは、従業員の働く形の変化について、ある意味では不動産を超えたソフトの部分まで踏み込んで分析したものです。

Future of Work」レポートでは、劇的に変化する未来の働き方への対応方法として五つの要素を提案しています。それは、「デジタル・ドライブ」「継続的なイノベーション」「オペレーショナル・エクセレンス」「財務パフォーマンス」「ヒューマン・エクスペリエンス」です。

今回の日立とのIoTを活用した取り組みは、まさにこの「デジタル・ドライブ」の側面から人と企業のパフォーマンスを向上させるためのデジタル化にほかなりません。また、レポートでは「ヒューマン・エクスペリエンス」において、従業員のエンゲージメント・幸福度が生産性向上に大きく寄与していることを示していますが、第2弾の実証実験はこの結果を裏付けるものになりそうです。

小林 日立が実証実験で得た結果と、JLLの「ヒューマン・エクスペリエンス」の分析が共鳴していることを感じます。

おそらくこの先5年、劇的にオフィス、そして働き方が変わるでしょう。年齢や性別、働く国や地域などに関わらず多様な人たちがつながって、テレワークやサテライトオフイスで仕事をする。もちろん会議の仕方も変わるでしょう。

この先を見越してJLLは、企業経営にさらに貢献する最適な提案をされることでしょう。一方で日立の強みは、現場の多様なデータを収集、分析、つなぐことで価値を見出し、さまざまな課題の解決に貢献することです。JLLの取り組みにも、協創とLumadaで応えていきたいと考えています。

福島 まさに、IoTと不動産サービスが融合した攻めのCRE戦略が真の働き方改革、そして企業の価値向上につながっていきそうで、未来のオフィスのあり様が今から楽しみです。

河西 IoTは様々な分野で革新を起こしています。それが今不動産に起きようとしています。不動産は二つの面で非常に大きなアセットクラスです。一つは資産規模です。世界中の不動産の資産規模というのは大変な金額になります。もう一つは時間の概念です。私たちは家庭にいるよりオフィスにいる時間が長いわけです。大げさでなく、人生の中で最も滞在する時間が長いオフィスという分野においてIoTが働き方や資産内容のあり方を変革するのは大変画期的なことだと思います。

そこで日立さんと一緒に新しい働き方、資産のあり方をお客様に提案できるというのは大変幸せなことだと思います。ぜひご期待いただきたいと願っています。