IoTで描く働き方の未来

働き方の変化は従業員の幸福度や業績の向上にも貢献

福島 IoTを不動産分野に応用するのは前例が少ないように思います。さらにAIの利用なども含め、これらのテクノロジーがサービス提供の向上や働き方改革とどう結びつくのかイメージしづらいところです。

日立製作所
執行役常務 アーバンソリューション ビジネスユニット CEO
小林 圭三
KEIZO KOBAYASHI
慶應義塾大学卒。1983年に日立製作所に入社。 重電部門の機器営業に従事。2002年より日立ア メリカ社(NY)に勤務。帰国後、産業インフラ部門の 営業を管掌。2016年4月から現職。

河西 JLLはグローバルで展開するトップレベルの不動産サービスプロバイダーとして、世界のリーディング企業をはじめ、全世界の事業法人および不動産投資家向けに不動産サービスを提供してきた実績があります。JLLがグローバルで受託している管理面積は2016年時点で4億900万平方メートルです。これは東京駅前に位置するオフィスビル、丸ビル3000棟分相当にあたり、この管理受託規模は世界トップレベルです。

もちろん、これまでもこれらの豊富な実績に基づく不動産情報のデータベース化などには力を入れてきました。ただし、従来は蓄積したデータの活用がどうしても経験則になりがちでした。今回の提携により、今後は、客観的なデータとその解析に基づいて「このようなレイアウトがより効率的である」「これぐらいのオフィススペースが必要である」といったデータに基づく提案が可能になると考えています。

小林 JLLではこれまで、例えば、働き方改革の支援において、オフィス内のデータを得る際は、担当者が目視などで計測されていたそうですが、最新のセンサー・テクノロジーを活用すると、文字どおりのビッグデータが短時間かつ効果的に収集できます。

実際、シンガポールでの実証実験では、机や椅子、扉などに小型センサーを取り付けて、オフィスフロアや会議室の利用状況、人の動きなどのデータを収集しました。今後、名札型ウエアラブルセンサーとAIを活用し、働いてる方々の組織の活性度(幸福度)を計測・分析し、社員同士のコミュニケーションを考慮して、生産性を高めるオフィススペースの検討を行う予定です。

福島 オフィススペースによって、働いている方の幸福度まで変わるのですね。しかも、それを測定できるというのも驚きです。

河西 コストの追求だけではなく、従業員の満足度、幸福度を上げたいというお話をよく聞きます。ただ、言葉だけでは抽象的になりがちです。具体的に、満足度、幸福度というのは何なのか、名札型ウエラブルセンサーをつけて、実際の業務や会話をしていただくことによって計測したデータから、交流が増えるとこういった効果があったというデータを示すことができれば理解しやすいでしょう。逆に、連携が必要なこの部署とこの部署はたくさん交流していると思ったらあまり交流していなかったといったものが数値として出てきます。それによって、「両部署は同じフロアに置いたほうがいいのではないか」といったことを感覚ではなくデータを用いて提案することができます。

小林 日立社内でウエアラブルセンサーを活用した実証実験を行ってAIで分析した結果、社員の幸福感をデータ化できるだけでなく、その幸福感と業績に相関性があることが確認できました。つまり「真の働き方改革」とは、単にモノやスペース、労働時間の改革のみならず、従業員の職場でのコミュニケーションや体験(エクスペリエンス)をいかに豊かにするかが大切なのです。それが企業の業績・価値向上に変革をもたらす重要な要素であると私たちも考えています。

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