往復6時間も!米国で増える「超長時間通勤」

サンフランシスコから郊外へ移り住む人たち

4時20分の列車に乗って、130キロメートル先にあるサンフランシスコにある事務所に出勤するジェームズ氏。毎朝起きるのは、2時15分だ(写真:Andrew Burton/The New York Times)

午前2時15分、シーラ・ジェームズの目覚まし時計が鳴る。でも、彼女はパン焼き職人でも、早朝のラジオ番組の司会者でもない。普通のオフィスワーカーだ。

自宅と職場の距離は約130キロメートル

62歳のジェームズは、米連邦厚生省のサンフランシスコ事務所に勤務する公衆衛生アドバイザー。年収は8万1000ドルだ。そんな彼女が超早起きなのは、自宅が職場から約130キロメートル離れているから。毎朝午前4時に家を出て、2種類の電車とバスを乗り継ぎ仕事に通う。

「2時15分なんて、夜更かしした人にとっては寝る前の時間よね」と、ジェームズは笑う。でも、彼女は仕事に出掛ける前に、ゆっくりとコーヒーを飲んで、朝(といっても外は真っ暗だが)の静かな時間を味わいたいタイプ。だから家を出る2時間近く前に起き出すことにしている。

3時45分、2つ目の目覚まし時計が鳴る。あと15分で家を出る合図だ。ジェームズはのんびりモードから、分刻みのてきぱきモードに頭を切り替えた。

最寄りの駅までは車で7分。車を駐車して、アルタモント通勤急行(ACE)のホームまでは歩いて4分。車輪付きのカバンと花柄のランチバッグを持って、いつもと同じ場所で列車を待つ。4時20分に列車が到着すると、いつもと同じ車両に乗り込み、進行方向に背中を向けたボックスシートに座る。

アルタモント通勤急行の利用者は、1日約2500人。ここ10年で倍増した。だが、サンホアキン郡からベイエリア(サンフランシスコ湾岸の大都市圏)に通勤する人の大多数は、車を利用する。列車からフリーウェーを見ると、早朝でも結構な交通量だ。

マイカー族は通勤中も気の休まるときはないが、早朝の通勤急行内は夜行列車のような光景が広がっている。みなブランケットや枕を持参していて、耳栓やアイマスクをつけている。眠らない少数派は、スマートフォンやノートパソコンをのぞいているか、ごくまれに本を読んでいる人もいる。

次ページ超早朝出勤を始めた理由
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 最新の週刊東洋経済
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 財新
  • 今見るべきネット配信番組
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
会社にとって「一番お荷物になる社員」5つの条件
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT