太陽光「特需」の終焉と「中小発電」の展望 FITの下落は、発電コスト削減で吸収できる

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三重県伊賀市にあるメガソーラー。モジュール4万128枚を数え、発電所容量10.23メガワットを誇る

首都圏近郊のとある茶畑で「ソーラーシェアリング」という新しい試みがスタートしようとしている。農地の上に太陽光発電設備を設置し、空から降り注ぐ太陽光をシェアすることで農業と発電を同時に行うというものだ。その背景をインリー・グリーンエナジージャパン(以下、インリージャパン)の山本譲司社長が語る。

「大規模なメガソーラー*1を建設するためには平坦で広大な土地が必要です。日本にはそもそもそうした条件に合う土地が多くなく、数少ない適した土地はすでに開発されています。これからは、300~400坪あれば建設できる中小規模の太陽光発電所の需要が増えるでしょう。農地を利用するソーラーシェアリングもその一つです」

*1 メガソーラー=出力1メガワット以上の発電所

用地コストが安い=都市部から離れた(地方)エリアは電力需要が比較的小さいため系統の受入容量の制約があるなか、電力需要が旺盛な首都圏近郊での太陽光発電所の普及を進めるために農地の活用は不可欠となる。

「太陽光特需」は終わったが……

かつて「太陽光バブル」という言葉がメディアを賑わせていた。

再生可能エネルギーを固定価格で電力会社に売ることができる「固定価格買取制度(FIT)」は2012年7月時点で、1キロワット時当たり40円だった。この価格ならば建設コストなどを差し引いても利益が出ると判断した多くの企業が新規参入し、メガソーラーを全国各地に建設していった。

だが、その後買取価格は毎年引き下げられていく。今年度の買取価格は21円と、当初に比べると実に半値まで下がったことになる。業績が悪化する企業も相次ぎ、2017年上半期(1-6月)の「太陽光関連事業者」の倒産は45件。前年同期の30件を15件(前年同期比50.0%増)上回り、最多倒産数を更新した(東京商工リサーチ)。

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