地方から日本経済を活性化するシステム建築 建設市場をデファクトスタンダード化
かつて、地域の建設会社は、地元の老舗企業との長年の付き合いや経営者同士の人的なパイプによってビジネスを行ってきた。だが、地元企業の世代交代も進み、その関係性が薄くなっている。なにより、ビジネス環境が激化している中、企業もコストや工期などの合理性を追求せざるを得なくなっている。建設会社にとっても、黙っていても指名で受注できた時代から競争入札が当たり前になっている。また、物流のネットワーク化が進む中、企業は新しい地域への建設を必要としており、信頼ある建設会社を求めている。
「事業環境が厳しくなる中で、他の建設会社との優位性を示せなければ受注ができなくなっています。当社の『yess建築』を活用していただくことで、その課題が打破できると自信を持っています」
そう大島社長が語る背景には、当社独自の「ビルダー制度」がある。というのも、同社は直販部隊や元請け施行部隊を持たず、販売・施工を「ビルダー」と呼ばれる地域の建設会社に任せているのだ。現在、ビルダーの数は、北海道から沖縄まで全国約970社に上る。これらのビルダーが、事前の相談から見積もり、施工、メンテナンス、さらに増築や改修まで、地域の顧客企業の要望にきめ細かく応えている。
「ビルダー」のビジネスをさまざまなツールで支援
むろん、単に販売・施工代理店のネットワークを作るだけで、「yess建築」の販売が伸びるわけではない。
「地域の建設会社が売りやすくなる仕組み、さらには地元企業に関心を持ってもらえる仕組み作りに早くから取り組んできました」と大島社長は紹介する。
その一つが、ビルダーが共同運営するインターネットサイト「yessビルダーズネット」だ。ここでは施工事例などを含むさまざまな情報提供を行っている。同社ではこのほか、ビルダーの事業を支援するさまざまな活動を行っている。たとえば、カタログや資料などの営業ツールの提供のほか、展示会などに出展する際には、掲示物や配布物などのツールも無償で提供する。ビルダーを個別に訪問して行う「yess建築セミナー」なども好評だ。
特筆すべきは、同社が独自開発した「yess見積3D」だ。これは、図面や見積書の作成のほか、建物の完成イメージ図を三次元パースで提案できるというもので、このソフトを使えば、建築の専門知識がない人でも、施主への提案が迅速にできるようになるという。1時間程度で簡単な3Dシミュレーションができるので、従来のように把握しづらい二次元図面を何日もかけて作成する必要はなくなる。