地方から日本経済を活性化するシステム建築 建設市場をデファクトスタンダード化
全国の施主から問い合わせが急増
地方のとある中堅建設会社の社長が次のように語る。「昨年あたりから、『おたくはシステム建築を扱っているか』という問い合わせが増えてきました。そう言われてみれば、自分の会社の周りにも、システム建築で建てられた工場や倉庫が増えている。これはまずいと調べたら、横河システム建築の『yess建築』にたどり着いて、すぐに販売・施工代理店として加盟しました」
「yess建築(Yokogawa Engineered Structure System:イエス建築)」は、横河システム建築が開発・提供しているシステム建築のブランドである。システム建築は、鉄骨、屋根、外壁、建具などの部材を標準化することにより高品質の建物が短工期、低コストで建築できるのが大きな特長だ。部材の標準化といっても、設計の自由度は高い。「yess建築」なら1ミリピッチで、スパン、間柱、桁行(建物の長さ)、軒高などを設定でき、要望に応じてクレーンの設置なども可能だ。これらに加え、同社は独自の技術により徹底的な軽量化と大空間建築を実現している。日本で唯一、システム建築の専用工場を有していることも、高品質、短工期への対応を可能にする要因の一つである。
用途は工場・倉庫のほか、事務所・店舗・スポーツ施設・最終処分場など多様である。
「全国着工面積に対する当社のシェアも着実に伸びています。見積件数も昨年比で30%増となっています。特に地域の元気な企業など施主様の関心が高くなっています。各地で、システム建築が『デファクトスタンダード(事実上の標準)』になりつつある手応えを感じています」と大島氏は話す。
激化する競争の中で合理性を追求
システム建築が急速に普及しているのにはどのような理由があるのだろうか。
「大きな要因の一つとして、地域の建設会社と、施主となる企業の関係が変化していることが挙げられます」