「赤ちゃんカンガルー」を救う保護活動の悲喜 オーストラリアで多発する交通事故

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古いセーターの中に幸せそうに入っている赤ちゃんカンガルー(写真:Serena Solomon/The New York Times)

私はカンガルーと縁のある家庭に育った。1960年代、私の父はクイーンズランドの牧場で働いていた。そこで飼っている犬に食べさせるため、父はカンガルーの狩りをしていた。ある時、銃で仕留めたカンガルーのところにいくと、赤ちゃんカンガルーが袋から頭を出したという。それから数週間、赤ちゃんカンガルーはわが家の薪ストーブの脇にぶら下げた古いセーターの中に幸せそうに入っていた。

おばも交通事故に遭遇した。まだ毛の生えていない赤ちゃんウォンバットを保護し、よく私の家に連れてきていた。

そんな家族の伝統を引き継いで私も赤ちゃんカンガルーの保護活動を始め、ウィリアムズの経験から学ぶことにした。そして私は南部の都市アデレードからスチュアート・ハイウェーに向かった。

私が活動の中心としていたのは、クーバーペディという場所だ。オパールの産地で人口1500人のこの町は、酷暑から逃れるために人々は地下に家をつくることが多い。内陸部アウトバックにあり、赤土の広がるこの町は火星のような雰囲気だ。

この地にあるのが、ジョセフィンズ・ギャラリー・アンド・カンガルー・オーファネージだ。運営している夫婦は、毎年100頭以上の赤ちゃんカンガルーを保護しており、その大半が交通事故に遭いながらも生き延びた赤ちゃんだ。

まだ体が温かいことも

道路脇に横たわっているカンガルーの死骸(写真:Serena Solomon/The New York Times)

アデレードからクーバーペディまではハイウェーで10時間ほどかかる。対向車とすれ違うことはまれなため、そんな時はドライバーは互いに手を振るのが習慣になっている。

北へ向かう間に私は7頭のカンガルーを発見した。そのうちの何頭かは道路脇で一部が腐敗しており、野生のオナガイヌワシの恰好のエサとなっていた。

もっとむごい姿のものもあり、尾や足でカンガルーであることがわかるというものもあった。ある1頭は、私が路肩に移動させた時、まだ体は温かかったが、おなかの袋は空だった。

そのカンガルーの保護施設は、こうした気分が悪くなるような死骸も乗り越えようという気持ちにさせてくれる場所だ。スチュアート・ハイウェーの南オーストラリア地域で発見される赤ちゃんカンガルーのほとんどがここに運ばれる。

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