Galaxy、V字回復への勝算 最新機種は歴代最高のスタートダッシュに成功

3週間で1000万台、欧米やアジアで好調
ソウル市内から、車に揺られて約1時間。ユネスコ世界文化遺産の「水原華城」で知られる水原市に、サムスン電子の本社がある。敷地の入口からモバイル事業部のある建物までは、徒歩だと15分ほどと敷地面積は広大だ。この地を中心とした一帯はまさに同社の城下町といったにぎわいを見せていた。

モバイル事業部に着くなり、同社の担当者が取り出したのが、最新のフラッグシップモデル「Galaxy S8」と「Galaxy S8+」だ。目玉となるのが、従来のスマホから比率を大きく変えたディスプレー。縦に長いため、S8が5.8インチ、S8+が6.2インチと、従来のSシリーズ(S7 edgeは5.5インチ)よりインチ数では大きくなるが、横幅がスリムで片手でも持ちやすい。ディスプレーの左右を湾曲させ、上下のベゼル(縁)も細くなっているため、あたかも映像が浮き出しているように見えるのが特徴だ。
「Galaxy」あるいは「サムスン」と聞くと、2016年に海外市場で起きた焼損事故や、それに伴う大規模リコールを思い出す向きもあるかもしれない。バッテリーのショートが原因で、当時の最新モデルであった「Galaxy Note7」の一部が焼損。その不良率が通常より1ケタ高い0.0014%ほどだったことから、同社は販売した製品の回収に追われた。Noteシリーズは同社が16年の冬商戦を戦うためのフラッグシップモデルで、販売台数も期待されていただけに、サムスン電子に与えた影響も大きかった。結果として、同社はこの穴を埋めることができず、16年第4四半期の出荷台数におけるグローバルのメーカー別シェアでは僅差ながら2位に陥落した* 。
*出所:Gartner