「正しい」データ復旧サービスとは何か 脱メーカー宣言の"主役"登場で変わる業界

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アドバンスデザイン社がデータ復旧サービスを始めた背景

同社が1995年に設立される以前、本田会長は無線アンテナを設計・製造・販売する会社を運営していた。それがなぜ、データ復旧の代表的な起業になったのか。

アドバンスデザイン株式会社 会長 本田 正氏
当時のアンテナ事業は、実験を繰り返しながらノウハウを溜める世界。しかし、コンピューターによるシミュレーションで、どんなアンテナでも作れるソフトがアメリカで開発され、一部の研究者にのみ公開されることになった。本田会長はそのソフトを使うことができる数少ない研究者であったが、あるときハードディスクが壊れたことで約3年分ものデータを失うことになる。
 
「たとえいくらお金がかかっても、そのデータを取り戻したい」。
 
そんな思いとは裏腹に、日本にはデータ復旧サービスを行う会社は皆無だった。アメリカには28社、ヨーロッパに1社というなか、信用のおける会社にデータ復旧を託すため本田会長はそのすべてを見て回ったという。しかし、技術を知り尽くした会社はその1割。そんな状況で出会ったのが、のちにシーゲート・リカバリー・サービスとなる、データリカバリー・ラボ(米)。以来、日本とアジアの代理店となり、同社の協力を得て技術力を高めていったという。そして現在もなお、技術はもちろん設備や装置を常にアップグレードさせながら、困難な復旧作業に日々取り組んでいる。

統合サービス企業へ。
従来不可能な復旧にも挑戦

現在、データ復旧サービスは東名阪の3拠点のみ。しかし、今後はすでに営業所のある北海道、仙台、広島、福岡を中心に拡大していくことを検討中だ。

また、外付けハードディスクの状態をクラウド上で監視し、故障予測を行うサービスも7月に展開予定。これがスタートすれば、ハードディスクの突然死をこれまで以上に防ぐことができる。さらに、有償ではあるがデータを完全に消去して廃棄するサービスもすでに始まっている。ストレージまわりのサービス全体を、“ゆりかごから墓場まで”と表現し、総合的なサービスへと進化させようとしている。

専務取締役の斉木邦明氏は最後に付け加える。「購入者の約半分は、外付けハードディスクをテレビ録画用に使われています。しかし、録画データは復旧させることができません。何故なら、日本には著作権保護に絡むコピーワンスという規制があるためです。そこはご了承いただきながら、同時に録画データの復旧実現のため、テレビメーカーへの働きかけも続けていきたい」。

あらゆるものがデータとして保存される時代において、バックアップをいかに行うかは大きな課題のひとつでもある。クラウドストレージという選択肢ももちろんあるだろう。しかし、プライベートなデータや手元に置く安心を求める人は、外付けハードディスクと併用して使っている。では、どのメーカーのものを購入すればいいのか?そのヒントとなるのが、データ復旧サービスの存在とクオリティ差であることは間違いない。