「正しい」データ復旧サービスとは何か 脱メーカー宣言の"主役"登場で変わる業界

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外付けハードディスク市場において、国内No.1(*)のシェアを誇る〈バッファロー〉が、データ復旧サービスを2017年5月1日より開始した。6月2日には、マスコミ向けにデータ復旧事業参入説明会を開催(写真上:メルコホールディングス専務取締役斉木邦明氏)。ストレージ製品の代表的なブランドであり同業界を牽引する立場にあるバッファローだが、データ復旧事業においては他社の後塵を拝する。なぜ、いまデータ復旧なのか。メーカーから、トータルサポート企業へと変身しようとする同社の取り組みを追った。
(*2016年大手家電量販店年間販売台数実績/BCN調べ)

意外に知られていないHDDの寿命

株式会社バッファロー 取締役兼データストレージソリューション事業部長 和田 学氏

データ復旧事業参入会見の冒頭、同社取締役兼データストレージソリューション事業部長の和田学氏は、「お客さまにとって大事なのはハードディスク本体ではなく、そこに保存した内容。かつては文章や表計算などのデータが多かったが、今は子どもの成長写真や音楽など、かけがえのないものが数多く保存されている。"メモリーとは、思い出"と言い換えられるもの。弊社は、お客さまの大事な思い出を今後もしっかりと守っていきたい」と意気込みを語った。

現在、データ復旧サービスが注目されている理由には、和田氏のコメントにもあるように、あらゆるものがデータ化され、どうしても取り戻したいメモリー(思い出)が増えたということが挙げられる。それ以外にも、外付けハードディスクの大容量化により使用サイクルが長期化し、障害が起きる確率が上がっているという側面もある。

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【外付けハードディスク容量別構成比グラフ】
昨今は2TB以上の大容量化が進んでいる。出典:GfK調査をもとにバッファロー作成

一般的に、ハードディスクの正常稼働率は、4年目以降に大きく下降するといわれる。6年目以降は50%を切るというデータもある。その一方で、今や外付けハードディスクの市場は2TB以上のモデルが主流となっており、一般家庭では短期間でそれだけの容量をフルに活用することは少なく、従来よりも長期間使用されるケースが増えたことで障害が起きやすくなっている。そのような現実的な理由からも、データ復旧サービスへの関心が高まっているのだ。

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