実践者が語る、失敗の本質と成功の条件
クロージングセッション
「生産性を高め新たな付加価値を創造する」
稼ぐ日本企業の舞台裏
新潟・南魚沼で、従来と異なるスタイルの温泉旅館「里山十帖」を経営する岩佐十良氏は、これまで注目されなかった棚田や古民家の風景、野菜・山菜料理といった地方の潜在的観光資源にラグジュアリーを感じるようプロデュースし、都市から集客、地元の産業創造につなげる循環について語った。客単価4万円、客室稼働率90%以上を達成。地元向けの勉強会で情報を共有し、食事・サービスのレベルを上げ、お金が落ちる地域づくりを図る。「地方では、事業を一からつくることが必要になりますが、同時に利益率の高いフロンティアをつくることも可能」と述べた。
全国から水揚げしたての魚介類を空輸し、産地に偏りなく、旬のものを詰め合わせた「超速鮮魚ボックス」を居酒屋などに毎日届ける事業を展開する「羽田市場」の野本良平氏は、儲からないから、小さな魚を数多く獲り、資源も収入も減っていく、漁業の負のスパイラルを指摘。「漁師は獲るだけではなく獲った魚を高く売ることも考えるべき」と訴えた。同社は、誰が、いつ、どこで獲ったかを表示するトレーサビリティを確立。需要が高まるのに市場が休みとなる年末年始も稼働して付加価値を高める。「流通、お客様まで見通すことが、収入とやりがいにつながる」と語った。