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トヨタが挑戦する「水素社会」の今

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さらに、今年、実用化に向けて走行実証を重ねてきた燃料電池バス(FCバス)をトヨタブランドで発売した。東京都交通局が運行する路線バスでの導入を手始めに、20年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京都を中心に100台以上のFCバスの導入が予定されている。このFCバスは大容量外部電源供給システムを採用しており、災害などの停電時に、体育館などの避難場所や家電の電源としての利用が可能となっている。

都営バスでの運行に先立ち、3月6日に小池百合子知事が試乗。「後方に座っていても前方の会話が聞こえてくるぐらい車内が静か。エネルギー問題にも関係しますので、安全性を確保しながら普及を進めていく」と話した

ただ、水素にも課題がないわけではない。燃料となる水素に関しては、製造・貯蔵・運搬過程での克服すべきコスト面や技術面での問題も残る。走行時にCO2を排出しないという点では、世界的にも電気自動車(EV)が優勢であることも事実だ。実際トヨタでは、EV・HV・PHVを含め、全方位で環境車の開発を進めている。

「水素活用がすべてのエネルギー問題を解決するとは考えていません。われわれは、電気と水素は二者択一ではなく、補完・共存するものと考えています。電気は貯蓄・輸送ができませんが、水素は貯蓄・輸送が可能です。風力・太陽光発電など、発電時にCO2を排出しないクリーンな電力は環境負荷が少ない一方、発電量が安定しません。水素を活用すれば、それらのクリーンな電力をより効率的に利用できます」

資源の乏しい日本では水素は有力な選択肢

他方、水素社会に向けて、世界を牽引する米国での動きはどうなっているのか。トヨタはすでにカリフォルニア州において、これまで培った技術を活用し、大型トラック(セミトレーラー・トラック)へ燃料電池を搭載する技術・事業化調査を進めている。

さらに今年2月には同州での水素ステーション網拡充に向けエネルギー企業と協力すると発表した。

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