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自動車、バス、サプライチェーン、貨物
トヨタが挑戦する「水素社会」の今

こうしたFCVの普及に向けて、トヨタは15年1月、自社の保有するFCVの特許実施権を無償で提供することを決定。規格や標準づくりで競合するよりも、水素の利活用を広めることを優先目的としたもので、すでに独自動車メーカーなどと組み共同研究を進めている。

また、インフラの主体である水素ステーションの整備については、国内では他メーカーや政府とともに水素インフラの運営支援を行っている。具体的には水素供給ビジネスへの参入を決めたインフラ事業者に対して、水素ステーションの運営にかかる経費の一部を支援すると同時に、新たな事業者の参入も促進している。16年度末までに、合計で90カ所以上の水素ステーションが設置される予定となっている。

「世界の自動車メーカーが各自で技術開発を進めており、20年以降には業界全体の販売台数も拡大していくと予測しています。それにつれて水素ステーションのインフラ整備もさらに加速していくと考えています」(中井氏、以下同)

トヨタブランドの水素で走るFCバス

実は水素利用は何も一般乗用車にとどまるわけではない。FCVは文字どおり燃料電池自動車だが、実際は電池というよりは、発電機と考えたほうが理解しやすい。たとえば、都市ガスなどから取り出した水素と酸素を化学反応させて発電する家庭用燃料電池(エネファーム)も普及しているが、これもFCVと同じ原理を持つ。事実、トヨタもすでにグループ企業のアイシン精機を通じて、この家庭用の定置式燃料電池を発売している。

また、16年からは神奈川県、横浜市、川崎市、ガス専門商社、電機メーカーなどと京浜臨海部において再生可能エネルギーを活用する、水素サプライチェーンモデルの構築を図る実証実験を開始。横浜市風力発電所(ハマウィング)敷地内で、風力発電を利用しCO2フリーの水素を製造し、貯蔵・圧縮するシステムを整備。製造した水素は簡易水素充填車で輸送し、横浜市内や川崎市内の青果市場や工場・倉庫などで導入している燃料電池フォークリフト向けに使用する。これによってゼロ・エミッションサイクルでのサプライチェーンの実現を図る方針だ。

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