海外の不動産投資家と日本の地方再生 JLL (ジョーンズ ラング ラサール)
東京への一極集中の反動で、地方都市のポテンシャルが注目される
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ジャーナリスト
福島 敦子
津田塾大学卒。NHK、TBSで報道番組を担当。テレビ東京の経済番組や、日本経済新聞、経済誌など、これまでに700人を超える経営者を取材。経済・経営をはじめ、環境、コミュニケーション、農業・食などをテーマにした講演やフォーラムでも活躍
福島 JLLのような幅広い情報を提供する企業が増えてくれば、日本の不動産市場の透明度も高まりそうですね。ところで、東京都心の不動産への投資が海外から積極的に行われている一方、不動産価格が急激に高騰し、さらに買いたくても物件がないという声もあるようです。状況はいかがでしょうか。
水野 ご指摘のように、東京の物件を買いたいという海外の投資家の需要は非常に強いのですが、現状はそれに対する売り物、すなわち供給が少ない状況です。ただし、大規模なアセットはなかなか出ないのですが、中小型のアセットはそれなりに回転はしています。当社ではそのような物件を積極的に海外投資家に紹介しています。また、今、海外の投資家が注目しているのは、東京以外の地方都市ですね。特に、大阪、名古屋、札幌、福岡などに関心を持つ投資家が増えています。「東京ではなかなか買えないから」というのも一つの理由ですが、それだけではなく、各地方都市自身の努力と言いますか、マーケットが回復傾向にあり、利回りやキャピタルゲインに期待できる物件がいくつか出てきているということも背景として挙げられます。
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JLL 関西支社
キャピタルマーケット事業部
アソシエイトディレクター
秋山 祐子
秋山 大阪は東京に次ぐ国内有数の経済都市ですが、利回りが相対的に高く、東京の次は大阪と考える投資家は多いですね。さらに、最近ではインバウンド経済に起因した不動産需要も急増しています。大阪観光局の調査によれば、16年に来阪した外国人観光客は過去最高の約941万人で前年比31%増となっています。道頓堀・心斎橋周辺は、平日でも海外からの観光客で大変賑わっています。アジアのファンドのお客様などを案内すると、その活気を見て「ぜひここで投資をしたい」とおっしゃる方も少なくありません。
福島 インバウンドの影響で、地方ではホテルや商業施設への投資が増えているようですが、ネット通販の拡大による物流施設に対するニーズも高まっているようですね。
水野 その通り、需要は増えていますね。Eコマースの発展により大型の物流施設を供給するデベロッパーが増えています。外資系企業、日系企業双方です。さらにそれがREITに組み込まれるアセットクラスとして認識され、その結果、取引が増えています。物流施設は大都市の近郊の地方都市で大きな可能性があります。大きな幹線道路沿いや高速道路のICの近くなど交通のアクセスのよいところは物流の拠点として適しており、ポテンシャルも高いでしょう。