【洞爺湖サミットに何を期待するか】(第1回)絡み合う緊急課題(前編)
国連大学高等研究所客員教授 功刀達朗
●今回のサミットの特徴

これ以外では「環境・気候変動」「世界経済」「政治問題」が主要テーマとして議論される。政治問題としては、北朝鮮とイランの核問題に関連し、不拡散体制の強化が取り上げられる他に、「平和協力国家」を目指す日本が重視する平和構築と人間の安全保障が論じられるであろう。国際機構論に関心を持つブラウン英首相から、サミット構成国の見直しや国連安保理改革を改めて提案されるとの予測もある。
今回のサミットを特徴付けるものとしては、世界経済を不況に向かわせたサブプライム・ローンの後遺症、世界各地でストや暴動を引き起こしている石油と食糧価格の急騰、金融危機とインフレ懸念、今や明白となった気候変動のもたらす脅威など、相互に絡み合う複合危機の進展に対処を迫られていることである。しかもこれらの問題は、緊急性を持ち、その対応次第では中長期的に問題を増幅するおそれがある。これらは情報通信の急速な発達とグローバル化の深化がもたらすhigh consequence risk(重大な事態を急速に引き起こすリスク)のカテゴリーに属し、テロリストによる大量破壊兵器の使用やサイバー攻撃のように、未然防止も事後処理も極めて厄介なものと言わざるを得ない。
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