オリックスの航空機リース事業、強さのワケ 世界経済が減速する中でも安定成長を維持
約40年にわたる豊富な事業経験
世界を股にかけるオリックスの航空機リース
「エアラインとのドキュメンテーション交渉が難航していて、このままでは商談がご破算になるかも知れない」
「この件は簡単ではない。Face to Faceでじっくり話し合わないと進まないから、すぐに現地に行くしかないだろう」
「東京からは誰が行ける? ダブリンからも人を送ろう」
ここは東京・浜松町。オリックスの東京オフィスでは海外各拠点をつないだ電話会議で緊迫したやり取りが英語で行われていた。
「毎日何が起こるかわかりません。それに立ち向かえるチャレンジ精神があるかどうかが、航空機リース事業では問われます」
オリックス輸送機器事業本部航空事業グループ・ヴァイスプレジデントの小野陽一郎氏は語る。
オリックスが航空機リース事業を開始したのは1970年代後半。航空機を対象としたファイナンスリースが盛んになりつつあった時期だ。それから約40年もの間、その草分け的存在としてオリックスは航空機リース事業に力を入れているが、これまでの道のりは決して順風満帆だったわけではない。
オイルショック、湾岸戦争、アジア通貨危機、米同時多発テロ、リーマンショック……、これまで幾度となく航空不況がマーケットに襲いかかり、同業他社は撤退、事業売却を余儀なくされた。オリックスも例に漏れず苦境に立たされるも、事業を諦めることは決してなかった。リース先が倒産すれば機体の回収に奔走、そして新たなリース先を見つけてくる日々。リース先が見つからない機体を砂漠に駐機させることもあった。この苦難の連続を乗り越えた経験はやがてオリックスの貴重なノウハウとなり、現在では世界40カ国、60社以上の航空会社と取引するまで事業を拡大、航空機リースの一大勢力にまで発展している。
「新興国の経済成長、LCCの台頭により、航空業界は毎年4~5%で伸びている右肩上がりの成長市場です」(小野氏)
今や世界的に注目されるビジネスとなった航空機リースは、もともとアイルランドの首都ダブリンが発祥の地と言われ、今も業界の中心地だ。現在世界でリースされている航空機の半分はアイルランド籍のリース会社によって保有されているという。オリックスは日本国内に本社を置く企業としては最も早い1991年からダブリンに現地法人を構えている。